対峙する (2/2)
「よし、10分前だ!」
「……行くぞ!!」
オレが控え室に戻ると丁度、皆は準備万端だった。
オレはテーピングをし直して先輩達のあとに続いた。
「いや〜〜……疲れた!」
ベンチの前に集まり円をつくった。
主将はその円に向かってダルそうに言う。
「今日はもう朝から憂鬱でさ〜〜2試合連続だし王者だし、正邦とやってる時も倒してもう一試合あるとか考えるし」
『………えっと、』
なんというか、すごくネガティブ。
クラッチタイムの反動?
「けどあと一試合、もう次だの温存だのまどろっこしいことはいんねー。気分スッキリ、やることは一つだけだ!ぶっ倒れるまで全部出しきれ!!」
「「「「おお!!!」」」」
どうやらダルそうにしてたのは演技だったようだ。
『火神君?』
控え室を出てからの火神がやけに静か。
もしかして体調がすぐれないのではと思い、その大きな背中に尋ねた。
『どっか痛いのか?』
「あ?なんともねぇよ。ただ…」
火神君は視線をどこかに移動させたので、オレはソレを追う
『ああ……なるほど』
そこには、向き合う真太郎とテツヤの姿があった。
『(オレももう一度会ったほうがいいかな)』
彼らのもとへ、足を向けた。
「まさか本当に勝ち上がってくるとは思わなかったのだよ。だが、ここまでだ。どんな弱小校や無名校でもみんなで力を合わせれば戦える、そんなものは幻想なのだよ。来い、お前の選択がいかに愚かか教えてやろう」
「……人生の選択で何が正しいかなんて誰にも分かりませんしそんな理由で選んだわけではないです。それに、一つ反論させてもらえば誠凛は決して弱くはありません」
テツヤの眼差しは力強かった
「負けません、絶対」
『覚悟しとけよ』
「藤井…」
テツヤの脇から現れたオレに真太郎は驚いたようだった。
だが直ぐに目を反らして持ち場につく。
オレもベンチに帰った。
「誠凛が王者連続撃破の奇跡を起こすか、秀徳が順当に王者のイスを守るか、さぁ……」
「決勝だ!!」
次のコマに進めるのは
どっちだ?
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