光 対 光 (4/5)
「……どんどん点差が開いてくっスね」
『そりゃあ、大輝が好き勝手してるからな』
アイツの暴動を、止めてくれる人は仲間にだっていやしない。
「火神っち抜いてないのにとんだ!?」
『入れる気あるから跳んだんだんだろ』
投げられたボールはボードに当たり、その反射でリングをくぐり抜けた。
ああいうシュートの仕方は見習いたいものだ
「バスケットに限らず、どんなスポーツでもその歴史の中で洗練されてきた基本の動きがあり、理想の型があるのだよ。洗練されムダがなくなったからこそ、選択肢は限られ逆に予測も成り立つ。そこにOF・DF共に駆け引きが生まれる。それが試合だ」
ひとり、真面目に試合を見続けていた真太郎が頭いいこと話しだした。
「だが青峰は物心つく前からバスケットボールに触れ、大人にまじりストリートでずっとプレイしてきた。もはや体の一部と化したボールハンドリングプラス天性のスピード、自由奔放なバスケットスタイル」
ドリブルもシュートも、大輝の動きに型はない。
ゆえにDF不可能(アンストッパブル)の点取り屋(スコアラー)と、「キセキの世代」のエース青峰大輝は呼ばれる。
いや名付けたのオレだけど
『現時点で、誰もかなわないバスケセンスの持ち主…』
正直、ヤツとは試合でやりたくないんだよなぁ…
皆に迷惑かかるから
***
大輝を攻略できないまま55対39と、誠凛が点をとる気配が全く見られない。
────ダムッ
大輝が一瞬ボールから手と視線を外した。それを狙って主将は手を出した。
でもとれる分けない
『ああ、またあんな見え見えの手に引っ掛かっちゃって…』
主将も学習しないんだなぁ、と試合の流れの悪さにため息をついた
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