オセロゲーム Part2 | ナノ
光 対 光 (3/5)







 ────フワッ




とても優しい繊細なタッチでボールは大輝の手を離れた。
当然入る。


『ほー』


あんな位置から入るなんて、やっぱすげーな。なんて感心する


「なんなんスか……藤井は」

『ん?』


隣を見やれば、モデルらしからぬ顔でオレをにらむ黄瀬がいた。


「悔しくないっスか?誠凛が押されてるの見て、」

『………別に』


大輝がああなってしまった時点で負けはほぼ確実なのだ。
前半では点の取れない誠凛にイラついてはいたが、それも今では仕方がないと思っている


「やっぱおかしいっスよアンタ!仲間のピンチに…こんなところでヘラヘラしてるなんて神経どうかしてる!」

『黄瀬……』


黄瀬は怒っていた。誠凛のために


『ごめんな、黄瀬。オレ、ぶっちゃけ勝ち負けなんて興味ないんだよね』


勝てないもんは勝てない。
負けるもんは負ける。
そんな風に相場は決まってる。
オレは二軍に行って学んだんだ


「じゃあ何のためにバスケしてるんスか藤井は」

『認めてもらうためだよ、征に』

「赤司っち?」

『そう。アイツに会って、試合して、勝って、そんでオレのスタイルを認めさせる』


オレがバスケ部に入った理由でもある。


「なら尚更、この試合は負けられないんじゃ…」

『いやいや黄瀬、勝負はそう急ぐものじゃないよ』


オレはまだ一年生で、誠凛は創立二年目だ。
何も今年中になんとかしなきゃいけないわけじゃない


『オレの鈍った体もまだ万全とは程遠い。まだ手の内は隠して置きたいのさ』

「やっぱり狂ってるっスよ、アンタ」

『お褒めの言葉として受け取っておくよ』


こんな話をお前にするなんて、ホントどうかしてるよ


「藤井、そんなつまらん話は聞き飽きた。試合に集中させてくれ」

『へいへい』


オレは黄瀬から目を背けコートに向き直った。


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