主役はいつも遅れて登場 (4/4)
『うーん…』
大輝に会おうと思ったはいいものの、彼がどこに入るのかが不明だった
『控え室はいなかったっぽかったし』
実際に中を確かめたわけじゃないけど部屋から青峰どこ行ったーって叫び声が聞こえてくれば、わざわざ扉を開けずとも想像力でどうとでもなる。
『あ、さつき』
「直也君!どうしてここに!?」
桐皇の控え室前から離れようと体の向きを変えたらさつきとばったり。
彼女の甲高い声が廊下に響いた
『大輝を探してるんだ。知らないかい?』
「それならボール持って外行ったけど…っていうか直也君なにその格好」
『何って…制服だよ制服』
「……青峰君から聞いてまさかと思ったけど本当なのね」
試合にでないの。とさつき後付けした
『さつきだってその方が楽だろ?』
何しろオレは出場した試合が片手で数えるほどしかない。
しかもどの試合も手の内は晒してない
「まあね。直也君のデータ収集が一番厄介だったのは事実だよ。なにせ私たちが知り合って仲良くなったのはあなたが二軍へ行ってからだもんね」
『ああそうだったねっと……』
このまま君とおしゃべりするのも悪くないけどオレは大輝のところへ行きたいんだ
『悪いけど立ち話はここまで。オレは大輝に会いに行かなきゃ』
「本当に行くつもりだったの!?」
『もちろん』
まだごちゃごちゃ言うさつきに手を振って立ち去った。
誠凛がどうのって叫んでだけど興味ないや
***
『あ、いたいたー』
おーいと手を振り駆け寄ると、ハンドリングチェックをしてた大輝はオレに気付いてくれた
『ここ駐車場だよ?危なくないの』
「ああ大丈夫。さっきぶつけた車は監督のだったから」
『…………』
それって全然大丈夫じゃないよね
しかもぶつかったんじゃなくぶつけたって、故意じゃねえか
『ところで、体はちゃんと暖まった?』
「だいたい」
『テキトーにアップ済ませると怪我するからね』
この前のオレの様に
「分かってんよ。そうまで言うならオマエが相手しろよ」
『ちょっ、えええええ!?』
オレの反応なんてお構い無しにボールをピッと指で弾いてパスしてきた。
ほれほれ、と大輝は構える
『ったく。時間ねえから2分だけな!』
お前とのバスケ嫌いじゃねぇけどよ、時と場所を選んでくれ
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