主役はいつも遅れて登場 (1/4)
「第一Q終了です」
感情のないアナウンスが体育館中に響き渡る
『25対21の4点差かぁ…』
ベンチへ戻る落ち着き様を見るとうかがえるに、あの実力差でここまでついて来られたのは双方にとっても予定通りなのだろう。
「次はどう来る誠凛」
『ん?あー…』
真太郎に言われて、慌てて頭で考えた
『さつきの能力を警戒するだろうから…おそらく火神君とテツヤをばんばん使って来るだろうね』
「ま、それが妥当なとこっスね」
会話という会話はこれだけで、ただボーッとコートを眺めていたらあっという間に2分過ぎた
ビ────ッ
「第2Q始めます」
誠凛ボールから始まった。
伊月先輩がボールを持ってて、テツヤと火神君はしきりにアイコンタクトしてる。
『一発目からかますつもりだな』
そういうの嫌いじゃないけどもっとペース配分を考えて見てもいいんじゃないかって思うわけだ。オレは
「ボールが黒子っちに渡った!」
テツヤはそれをゴール付近にいた火神の頭上にあげた。
当然読まれてるわけだからディフェンスはついている
「ブロック2人!!!」
「いくら火神でも無理なのだよ!」
『いや、アイツには足がある!イケるさ』
思った通り火神のジャンプ力はすさまじく、後から跳んだ2人の方が先に落ちていった。
『っしゃあ!』
火神のダンクが決まって思わずはしゃいでしまった
「この前よりいいっスね」
『それはもちろん』
火神君の光としてのセンスが高まって来てるから。
このまま波にのってくれれば良い
ビ───…
「誠凛、メンバーチェンジです」
しかし突然無機質な機械音がなる。
誠凛への流れが断ち切られた
『なんでだ?』
ベンチへ引っ込んだのは、あろうことか火神君だった
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