桃色の本気 (2/2)
『ああ…既出の技は読まれてるのに……』
それでもかまわず水戸部先輩はシュートの体勢に入った。
あの構えはフック…
「とられたな」
『把握済みってことか』
水戸部先輩のボールは弾かれてしまった
「どうだ?桃井の情報収集もなかなかだろう」
『う…でも人は成長するものだ』
この試合で初披露となる技ならいくらさつきだって予測できないはず
「ふっふっふ、それはどうかな藤井」
『え?』
黄瀬が日向主将を指差した。
オレもそれにならって主将を見る
『!!』
フェイクを入れた主将が抜きにかかる。
しかし相手は主将がどう動くのかわかっていたかのように立ち塞ったのだ
「情報にない手できた場合、普通なら対応できない。だが桃井は集めた情報を分析してその後相手がどう成長するかまで読んでくる…!!」
「その人の身長・体重・長所・短所・性格・クセ……全部集めて分析・解析・絞り込み……最後の秘訣は、
「女のカンよv」らしいっスよ」
『ああそう』
黄瀬がさつきの声や仕草を真似して言った。
彼女の能力についての解説はとてもわかりやすいけどヤツの真似はキモかった。
『でも女のカンなら、うちのカントクも負けないよ』
一度伊月先輩の元に行ったボールは再び主将へ。
さっきと同じようにドリブルで攻めた
「さっきと同じ!?」
『いや違うよ』
桐皇9番の背後にはテツヤがいる
「スクリーンだと!?」
「黒子っち、いつの間に…」
主将はシュートのフリしてノーマークでいた火神にパスをした。
『さつきの女のカンだって、テツヤ動きは予測不可能っしょ』
ボールを受け取った火神は後ろ向きでダンクする
「まあ黒子の動きは読めずとも桃井にとってはあんなもの些細な差異にしかならん」
『さつきってどこまで読めんの?』
「それは神のみぞ知るっスね」
さつきの手のひらで踊らされてるような気がしてならない
『これはあのコンビに頑張ってもらうしか……?』
たまたま見た火神君の顔が歪んだように見えた。
息切れのせいだろうか?
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