オセロゲーム Part2 | ナノ
これだけは譲れない (3/3)




「ありゃ、まーた遅刻っスわ」


ふと、どこかで聞いたことのあるような声が後ろからした。


「しかもまた負けてるし……ん?」

『……げ』


黄色い髪で片耳ピアスしたチャラ男、黄瀬涼太がいた。
しかもバッチリ目が合ってしまって


「なんで此処に!?っていうか試合はどうしたんっスか!!」

『バカには分からねぇ大人の事情があんだよ』

「ひどっ!……てかあれ?もしかして隣は緑間っち!?ってか誰だアンタ!!」

「……む?」


モデルでオシャレに人一倍気を使っている黄瀬は、真太郎の変わった格好にびっくりする。


「黄瀬っ!?なぜ気づいたのだよ!?」

「アホスかグラサンて!そして恥ずかしいからソッコー外してほしいっス!」

「なにィ!?」

『よく言ってくれた黄瀬』


褒めてつかわす。

すると真太郎はダサいグラサンを外していつものメガネに変えた


「しかも何スかそれ」


黄瀬の視線の先には真太郎のラッキーアイテム、ビックリ箱が握られていた。
よくそんなものが用意できたこと


「あれスか?見たくないとか周りには言ったけど結局来ちゃったんスか?」

「テキトーなことを言うな!近くを通っただけなのだよ!」

「家真逆じゃないスか」


真太郎は弁解する余地がなかった。
うそつくのが下手なのは相変わらずのようだ


「で、どースか試合は?」

「どうもこうもない。話にならないのだよ。青峰がいないようだが」


一度言葉を切って、オレを一瞥する


「藤井がいないせいもあってついてくのでやっとだ」

「青峰っちいないんスか!?つーか試合に出ろよ藤井!!」

『試合より大事なもんがあるんだよ、オレには』


しれっとした顔で言うと、黄瀬はわけわかんないっスと呟いた。
オレはそれをスルーして試合を眺める


「……まあ今あの二人が決めたじゃないスか。これからっスよ」


これから追い上げるんだよ、と黄瀬は言った。


「忘れたのか黄瀬、桐皇には桃井もいるのだよ」

「!」

「あいつはただのマネージャーではないだろう。中学時代、何度も助けられたのだよ……つまり逆に、敵になるとこの上なくやっかいだ」


真太郎の言葉に驚く黄瀬。
どうしてそこまで凄いことなのか、オレにはよくわからなかった


『さつきがいるとまずいの?』

「藤井は知らないんスか?」

『なにが?さつきが"料理のできないスゴいマネージャー"だってのは聞いたことあるけど…』

「そうか。藤井は知らないのか」


真太郎が残念そうにオレを見た。
そして視線をさつきへ向けた


「今に分かるのだよ」


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