オセロゲーム Part2 | ナノ
エスケープする (3/3)





「なぜだ藤井!なぜオレだと分かった!?」

『いや、だって……』


ねえ。


「ところで藤井、試合はどうした」

『ああ、エスケープした』


だって大輝とやっちゃダメなんだろ?オレに教えてくれたのは他でもない真太郎じゃないか


「いや…だがまさか本当に出ないなんて…」

『オレは本気だよ』


アイツの命令に逆らうことはできないんだ。
オレだけは…


『やっぱりアイツを捨てるなんて…できないんだ。どんな扱いをされても』

「藤井…」


それは間違ってるぞ、と真太郎の目は訴えてる……ように見える。
そんなことは自分がよく知ってる。

でもオレは、アイツにこれ以上嫌われたくない


「それが本音か」

『そうだね』


とどのつまり、アイツに気に入られたいんだよ




『………ねえ真ちゃん』

「なんだ?」

『さっきから気になってたんだけど、そのグラサンなに?見えるの?』

「なっ」


素晴らしく似合ってないけど


「度入りだ。ぬかり無い」

『ふーん』


会話をそれまでにして、オレらはコートに視線を移した。


『なあ真ちゃん、大輝が見当たらないんだけど』

「オレも見ていないのだよ」

『サボりかなぁ』

「十中八九な」


この前、ストリートバスケをやった時のが響いてないならそれでいい


「それではこれより、誠凛高校対桐皇学園高校の試合を始めます」


アナウンスが流れると選手達はコート中央に整列した。

こうしてみると体格は見たところ大差ない。
あるとしたら風格の差か


『心を強く持たないと、最後までもたないだろうあなぁ』


試合を見るオレの心情は、まるで他人事だった。


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