街で出会った (2/2)
「そういえば、桃井と会ったそうだな」
テーピングを選びながら、真太郎は呟くように言った。
『真ちゃんなんで知ってんの?』
「本人から電話があったのだよ」
『へぇ…なんて?』
「心配していたぞ、凄く」
『やっぱり?』
真太郎のテーピングを選び終わったようなので、次はオレがメモを見ながら目当てのモノを選んでいく
『いやー、黙ってバスケ部辞めちゃったのがイケなかったみたいでさ』
「当たり前だ。事情を知っているオレはともかく、他はかなり心配していたのだよ」
あの黒子であっても例外ではない。と彼は付け足す。
『テツヤも?』
「聞いてないのか?」
『何を?』
テツヤがオレに、なんか言ったっけ?
ちょっと記憶をさかのぼってみても思い当たる節がない。
「なぜ黒子が誠凜を選んだのか」
『何それ聞いたことない』
うおのめパッチをかごに入れながら真太郎に聞き返した。
「キセキの世代」を倒すために無名校を選んだ。が、理由じゃないの?
「それもあるだろうが、1番の理由はおそらくお前なのだよ」
『オレ?』
意味が分からない
「推薦やスカウトで既に高校が決まってるオレ達と違い、黒子はどこを受験しようが勝手だからな」
どこを受験するか迷っていると、オレが誠凜に行こうと決めた事を小耳に挟んだらしい。
そしてオレの事が気がかりだったテツヤも誠凜に決めたのだと真太郎は語る
『でもテツヤ、一言もそんな事言ってなかったぞ』
入学して初めてあったとき、いかにも"偶然ですね"って顔してたし
「心配してることを悟られたくなかったのだろう」
『そうなんだ』
オレとアイツの問題だから皆に余計な気遣いをして欲しくなかったから黙って辞めちゃったのが、逆に彼らの心配の種になってしまったようだ
『………あ、全部そろった』
メモのモノは全部かごに入れたので、あとは会計をして領収書をもらえば完了。
真太郎は既に買い物を済ませていたので、オレのお使いに付き合ってくれていた。
『なんか悪いね真ちゃん。貴重な時間を頂いちゃって』
「気にすることはないのだよ」
おつりとレシートを店員さんから受け取って、オレ達は店からでた。
『じゃあまたね、真ちゃん』
「ああ………」
『?』
手を振るオレに対して、真太郎の顔はなんだか言いたげたった。
「藤井…」
『なに?』
「その…ヤツから伝言があるんだが……」
『アイツから?』
アイツとは、「キセキの世代」のキャプテン。その彼がいったい真太郎を伝って何を言いたいのだろうか。
そもそも、そうまでしてオレと話したくないのはなぜだろう
「"青峰とはやるな"だ、そうだ」
意味が……分からない
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