ウソだといってくれ (2/3)
「どうなんだカントク」
オレとカントクを皆が取り囲んでいて、主将がカントクに具合を聞いた。
「……藤井君、試合前のアップ、ちゃんとやらなかったでしょう」
『え?あー…』
数時間前の記憶をたどる。
アップの時、柔軟して何本かフリーを決めて、ボールがどっか行って……
『あー…あんまりやってなかったかも』
ボールを真太郎に奪われて、暫く話し込んだんだった。
「やっぱり。そしてあなた、最近成長痛がどうのって言ってたでしょう」
『あ、はい』
「じゃあもしかして」
「曲げ伸ばしすると痛みが走るのって…」
「「「「「成長痛!!?」」」」」
すると周りの人たちから一斉に笑いが起こった。
「ちょっと皆、笑い事じゃないわよ。成長痛って酷くなると手術も必要になるんだから」
『「「えっ!?」」』
『そんなに重症なんですか?』
「いえ。そんなに酷くはないものだと思うのだけど……」
「けど?どうしたんだカントク」
言葉を濁したカントク。
「試合は……」
『出れないんですか!?』
「成長痛にバスケって辛いのよ?」
『でも、決勝っすよ!オレがいなきゃ……』
オのがいなきゃあの緑間真太郎は止められないだろうに。
「確かに勝つ事は大事よ」
『だったら…』
「でも、私はカントクである前にスポーツジムの娘よ。選手の健康は何より大事なの」
『そんなぁ……』
彼女らは知らないからそんなこと言えるんだ。
真太郎の恐さを。
「カントクどうにかならないのか?藤井を出さないのはオレらにとっても厳しいものがあるんだが」
「日向君…」
カントクさんはまた悩んだ。
「なら、テーピングとサポーターで手を打ってあげる」
どうやら試合には出られるようだ
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