オレと君との温度差 (5/5)
「それはそうと桃井さん。……やっぱり青峰君の学校行ったんですか」
「……うん」
テツヤは上手く話をそらしてくれた。
しかしこの話題になると、さつきの表情はまた暗くなってしまった。
「テツ君と一緒の学校に行きたかったのは本当だよ?……けど、アイツほっとくと何しでかすかわかんないからさ」
『さつき…』
少し見ない間に、大輝もさつきも随分変わってしまったようだ。
「はいはい!そこの3人、話はそのくらいにして。午後にも練習入れてんだからこれ以上時間を浪費させられないわ」
『あ、すみません』
パンパンとカントクは手を二回叩いて話に区切りをつけた。
「あ、私まだテツ君と話したい事が…」
「だったらあそこのベンチを使って。皆はシャワー浴びて塩素落としてきてちょうだい」
「「「うす」」」
1分だけのはずだった休憩が延びきってしまったおかけでお昼の時間になってしまった。
オレらはテツヤとさつきをプールに残して更衣室に向かった。
***
「キッツ〜、全身ガクガクなんだけど」
「このあと午後練とかヤバくね?」
シャワー室に入ると、疲労感が一気に来る。
水中では浮力があるからあまり感じないのだが、実は体に超キてる。
「っつーか藤井って帝光中でなんかあったの?」
『え?』
疑問に思ったことはなんでも口にする小金井先輩が尋ねてきた
「ばっ、コガ!デリカシー無さすぎだろオマエは!!」
「あいて」
素直過ぎる小金井先輩は、主将に叩かれてしまった
『別にいいですよ主将。秘密にしておく理由もないし』
「そうか?ならいいんだか…」
『ええ。……そうだ、ついでだから話しちゃいましょうか?バスケを辞めた理由』
「聞いてもいいのか?」
『かまいませんよ』
すると流しっぱなしのシャワーがすべて止まった。
『試合でヘマして二軍落ちして、そんでそこでのイジメに耐えられなかったから。そんだけ』
「そんだけ?」
『ええ』
本当は他にも要因はあったりするわけだけど、それは当人であるオレとアイツの問題なので説明は省く。
だからざっくり話すとこうなるのだ。
『それより先輩たち、見てくださいよあの谷間』
健康男児たるもの気になるだろ?
「今日午後練のメニュー3倍にしたから」
「ちょっ、はぁ!?死ぬって」
「うん、死ねばいい」
「ぴょっ!?」
そんなおれらを後ろから見ていたカントクは無茶ぶりをしてきた。
午後練がどうなったかは、また別のはなし
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