ウソだといってくれ (1/3)
「体冷えないようにすぐ上着きて!あとストレッチは入念にね!疲労回復にアミノ酸!あとカロリーチャージも忘れずに!順番にマッサージしてくからバッシュ脱いでて!」
控え室に来るなりカントクさんは大忙しだ。
オレも持ってきたミルクチョコレートを口に入れる。
「あ!藤井君またそんなものばかり食べて!アミノ酸も取りなさい」
『えー…それ美味しくな』
「いいから食べる!」
『むぐ…』
チョコの味がまだ残る口の中にゼリー状の物を入れられた。
「どう?」
「サンキュ、ま……疲れてないって言ったらウソになるけど……これでなんとか次も最後まで走れるだろ」
順番にマッサージを受け、スターターの中で主将が一番最後にやってもらっていた。
「じゃあ次は……藤井君バッシュ脱いで」
『へ?いいですよ別に』
そんなに動いてないし。
「いーえ、あなた久しぶりに試合出たじゃない。きっと凝ってるわよ」
『………』
カントクにそう言われると、なんとなく膝に違和感。
『お願い、します…』
チョコレートを銀紙で包み直し、ベンチに座るため屈んだ。
『───ぃ痛!!?』
膝からパキッと音がなったと思ったら、続いて痛みが走った
「藤井君!大丈夫!?」
カントクさんが慌てる。
オレはベンチに座り膝頭を押さえつけながら頭をブンブンと振ることしかできない。
言葉が出ないくらい、痛い
「ちょっと診せて!」
カントクさんはオレの太股を持ち上げて、もう片方の手で足首を持って足を揺らす
『いっ!』
「コレが痛いのね…」
『はい』
膝を動かすと痛みを感じた。
次は膝からかかとに向かって指圧していく
「押すと痛くないの?」
『そんなには』
「ふーん……」
簡単な診察が終わると、カントクは腕を組んで唸った。
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