オセロゲーム Part2 | ナノ
お好み焼き事件 (1/5)




『主将、此処がいいです』

「ここ?」


ふと目にとまったのはとあるお好み焼き屋。
雨のなか漂ってくる美味しそうな匂いに、オレの腹は鳴った


「じゃ、ここにしようか」

「すみませーん」


傘を畳んで中に入る


「ん?」

「お」

「ん」

『あ、』


店内に入ると見知った顔が2つ。
向こうもこちらの存在に気付いた。


「黄瀬と笠松!?」

「ちっス」

「呼びすてかオイ!!」


他校とはいえ先輩であるはずの笠松さんを呼び捨てにするとは中々の強者だと思うぞ火神。


「なんでここに……?」

「おたくらの試合観にね」

『なんだ。だったら一言言ってくださいよ笠松さん』


借りっ放しのTシャツ持ってきたのに


「別にいいよ、いつでも」

『そうですか?』


海常のキャプテンはなんて心が広いのだろう。




「すいません、15人なんですけど」

「ありゃ、お客さん多いねー。ちょっと席足りるかなー」

「つめれば大丈夫じゃね?」

「あっ、ちょっとまっ……座るの早っ!」


小金井先輩が座敷間に行くと、他の部員もそれにならって座っていく


『火神はイスの方がいいよ』

「なら直也君もイスの方が…」

『いやオレは…』

「もしあれだったら相席でもいっすよ」


テーブル席につくのを躊躇っていると、笠松さんが席を詰めてくれた。


「藤井はこっちに来るといいっスよ!」

『オマエの隣は絶対やだ』


しかも、なんだその笑顔は。
この前試合した時とは随分態度が違うじゃないか。


「まあまあ、親睦を深めようじゃないっすかー」

『キモいキモい』

「そんなこと言わずに座ってください直也君」

『うわっ、ちょっ!』


テツヤに半分強引に腕をひかれ、他から持ってきた丸イスに座らせられる


「オマエもこいよ、火神」

「あ、はい、どうも」


火神も笠松さんに勧められてイスに座る。


『…………』

「………」

「…………」

『………………あれ?』


なんかスッゴく居心地悪いんだけど


「なんなんスかこのメンツは……そして火神っちなんでドロドロだったんスか」

「あぶれたんだよ。ドロはほっとけよ、っち付けんな」

「食わねーとコゲんぞ」


このぎすぎすした雰囲気を感じてない笠松さんは黙々とお好み焼きを食べすすめていく。


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