これで最後 (4/4)
「決めろ日向ァ!!」
カウンターはあと5秒をさしていて、主将はラインから遥か遠い場所でシュートを放つ。
なかなかのチャレンジャーだと思う
『ああ、でも入った…』
良かったよかったと胸を撫で下ろす
「……逆転!?」
「うわああ、信じらんねぇ!!残り数秒で誠凛が勝ったぁ!!」
「勝ってねーよ、まだ!」
「!?しまっ……」
誠凜の動きが緩んだ隙に、高尾君は真太郎にボールを送った。
『まだ5秒残ってんだよバカッ!』
5秒あれば、もう一本返すことなんて彼には容易いこと。
跳んでくれ、火神!!
「ああああ」
限界を超えた足で火神は高く跳んだ
……しかし、
「……!!?」
真太郎は跳ばなかった。
「「「決めろ緑間ァ!!」」」
火神が地に足がつく頃、真太郎は再びシュートの体勢に入る。
「試合…終了───!!!」スコアボードは動かない。
テツヤが、ボールを叩き落としていたから。
『よし!』
接戦だっただけに、涙が出そうだよ
「82対81で誠凛高校の勝ち!!」
「「「「ありがとうございました!」」」」
***
「さ!帰ろっか!」
晴れ晴れとした顔つきのカントク。
「いや、ちょっ……ゴメンマジ待って」
「2試合やってんだぞ、しかも王者……」
「んなテキパキ帰れるか……!!」
『ちょっと時間が欲しいですっ!』
対してオレらはゾンビみたく挙動不審になってる。
「あ、ゴメン」
「オレらは少し休めば大丈夫そうだけど、火神がな。ムチャしたし」
『確かにあれはつらそう』
背後では立ちあがろうと踏張る火神がいた。
「それはそうと、藤井君こそ足の調子どう?」
『火神君ほど酷くは無いですけど少し休みたいかも』
「でもいつまでもここにいるわけにもいかないし……とりあえずどっか一番近いお店に入ろう!火神君はだれかおんぶしてって!」
「じゃあジャンケンで決めよう!」
一瞬だけ皆の顔が強ばったが、諦めたようにもそもそとじゃんけんが始まった。
「ちょっと待て、黒子がいない」
「本当だ!」
「じゃあもう一回だ!!」
「じゃーんけーん……」
そして決まったのは、
「おーい黒子大丈夫か?」
テツヤだった。
『凄く不安…』
会場を出発してから、テツヤはあっちへヨロヨロ、こっちへふらふら。
凄く危なっかしかった。
「すいません、もうムリです」
「ちょ黒子テメッもっとがんば、あ゛〜〜〜〜!!!」
『あ───……』
豪快な泥飛沫とともに、火神君は背中から落っこちた。
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