これで最後 (3/4)
「秀徳高校タイムアウトです」
3分を切り誠凜が1ゴール差まで追い詰めた時、タイムアウトが入った。
およそ二分間試合が中断される。
『流れが変わらなきゃいいけど』
今波に乗ってるのは誠凜だから
「藤井、悠々と座ってんな。詰めろ」
『あ、火神君ごめん』
ベンチに戻ってきた選手のために皆テキパキ動いてるのに、オレだけ何もせずに座ってたから火神君に怒られてしまった。
だって膝が痛いんだもん
「さあ此処まで来たら後は全力尽くすだけよ!」
とかなんとか、カントクは指示を出していく。
『テツヤ』
「?」
『こっから先、絶対に真太郎から目を離すなよ』
「分かりました」
テツヤが頷き、それとほぼ同時にブザーが鳴った。
「そうくると思ったわ!」
案の定、ボールは真太郎に集中する
コレではもう捕ってくださいと言ってるようなものだ。
──────バチィッ
真太郎がボールをキャッチする前にテツヤが弾く。
火神君は跳べないと分かればパスが真太郎に集まるのは当然。
スティールがグッとしやすくなる
「うわああ、誠凛カウンターだ!!」
ボールは主将に渡ったけど大坪に阻まれる。
それから暫く両者点が入らなくなる
『警戒されてるな…』
外してしまった時のカウンターを、秀徳は恐れているのだ。
「あっ!!」
残り40秒を切ったところで、緑間はスリーを決めてきた。
「うわぁあ、緑間!!」
「5点差!!一気に苦しくなったぞ誠凛!!」
しかし諦めないのが誠凜。
クラッチタイム中の主将がやり返して二点差まで詰める
「時間がない!!当たって!!」
でもリードしている秀徳はあの手この手でこちらのパスを邪魔してくる。
──────ピッ
「黒ボール!!」
「残り15秒!!」
「誠凛逆転の最初で最後のチャンスだ……!!」
『いや……』
最大のチャンスではあるけど、人の配置が悪い
「!!?」
主将の前に立ち塞がったのは、大坪だった。
『スリーを優先させてきたか!』
体勢を立て直す時間も無いというのに
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