これで最後 (1/4)
「第4Q始めます」
とうとうこれが最後のチャンス
火神君は冷静さを取り戻したし、主将はクラッチタイムに入ってる。
おまけに秘策付きのテツヤも投入するから…
『役者はそろった』
と言うことかな?
ひとつ気がかりなのは高尾君だけど、まあ大丈夫だろう。
疲れも相当きてるだろうし、彼は浅はかな部分がある。
『あ、ナイスパス』
火神君から水戸部先輩へ。
そして水戸部先輩がシュートを決める。
やっぱり、身長があるって武器だよなぁと自分の小さな足を見て思った
これで49対61。
じわりじわりと誠凛の追い上げる。
『きた!』
予想通り、ボードはすぐに真太郎と回された。
「げえ!!リスタートが早い!!火神―…!!」
「頼むわよ…」
ベンチではただ祈るしかできないのが歯がゆい。
────バガッ!
『……よし!』
火神は、真太郎のシュートを防いでくれた
「なっ……!?」
真太郎が驚きのあまり何もできないでいると、伊月先輩がボールを拾ってシュートを打った。
「おおお、来たぁ!!」
「10点差だ!!」
2連続ポイント。
快調なスタートだ
「カントク!いきなり2回のうち1回使っちゃっていいんすか!?」
「ハッタリだからね!」
『賭けでもある』
「ゲ!」
「こっからはフツーにマークしてるだけでやっとだからね。緑間君に撃たれたら止められない」
慎重派の真太郎にはもってこいなこの作戦。
火神がまだ飛べるかもと思っているうちは、奴は打つのに消極的になるはず
「もう今できることは秀徳の得点力を少しでも落としてそれ以上に点をとるしかない!」
そうなれば、すべての鍵を握ってるのはテツヤだ。
『テツヤ……』
責任重大だぞ
「でもさ、死角がないんだから高尾にミスディレクションは効かなくね?」
『いえ。……高尾君に全く効かない事はないんですよ小金井先輩』
まあ見ててくださいと、テツヤを指差す。
そうしないと、小金井先輩はテツヤを見つけらんないと思うから。
.
prev|back|next