オセロゲーム Part2 | ナノ
冷静になれよ (1/3)








「うおお、一ケタ差!?」

「この差なら分かんねーぞ!!」




現在の得点、47対56。
やっと追い付いた



「お前の力は認めるのだよ。だが……ここまでだ」


「なんだと……!?」





 ─────バッッ





「撃たせるか……」


真太郎のシュートを止めようと、火神は跳ぼうと足に力を込める。


「!!」


『火神っ』


火神は跳べなかった。
そろそろ限界が来てしまったようだ


『(調子に乗るからだよ…)』


ゴール下で、ボールがネットをくぐるのを眺めながらそう思った


『しかも限界なのは火神君だけじゃない…』


先輩達の顔も疲労の色にそまってて、おまけに集中力もギリギリだ

オレの膝も悲鳴をあげそうだし。


「うるせーよ!!この程度で負けてたまるか!!」


疲れなんなに負けじと火神はボールを持って走りだす


「火神待て!!」


主将の制止の声も聞こうとしない。


『ほんっとバカ!』


サポートもフェイクもなしでゴールに向かったせいで、火神君のレイアップは易々と真太郎に阻まれてしまった


「うわぁ、カウンター!?」


「いくらなんでもムチャしすぎだよアイツ!」


「くそっ……」


うまくいかない火神は、苛立ちを隠しきれない。

彼のその態度が、誠凜の流れを悪くする




『火神……』


「なんだよ」


『いや、やっぱ何でもない』


落ち着けと言おうとしたが、火神のあまりの剣幕に言葉を紡ぐことが出来なかった。


『(今の状態では何言っても無駄か…)』


自分の力を、完全に過信してる





「第3Q終了です」



流れが秀徳に持っていかれる前にブザーが鳴った。
それだけが救いだと思う


『(インターバルで火神が改心しなければ…)』


彼をこれ以上コートに立たせるわけにはいかない。

…膝が壊れてでもオレが出てやる


痛む足がどこまで本気を出せるか、分からないけど


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