手の内は隠さず (3/3)






第２Ｑも、思うようには進まなかった。


海常戦でみせたバックチップも高尾に阻まれるし、真太郎は速さもある。
テツヤと火神のコンビネーションも高尾の目が行き届いてる範囲では決まらない


『スキあらば直ぐにスリー…』


早々と潰すつもりだ。
真太郎の超長距離シュートの精度が落ちる前に。


「おおお、きたぁ！緑間２連続！！マジで落ちねぇ！！」


２連続っていうか、一度も外してないからその言い方は何だか違和感がある。


「伊月ボール回せ！！あいつらだけに頼ってねーでオレらも攻めるぞ！！」


主将の一声で２年主体のオフェンスに変わる。


『出た！みと先輩のフック！！』


「誠凜もなんとか食い下がる…！！」


でも真太郎は一切容赦しなかった


「悪いがそれは無理なのだよ。いくらか返した所で、オレのシュートは止められない」


また真太郎がシュート。
火神がブロックに入るが残念ながら防げない。
打点が高いのだ。

そして、あの滞空時間が選手達の心を折っていった。



「うわぁあ、３連続！！」


「緑間が止まらねえ！！差が開く一方だ」


「何か……」


『え？』


「緑間を止める方法は何か、ないの？」


『カントク……』


カントクはオレの呼び掛けに対して無反応だった。
今の彼女には余裕がないのだ。
精神的にいろいろとダメージを食らっていたから。


『カントク』


オレはカントクの目を無理やり自分のと合わせて、言った。


『誠凜には、まだ光が残ってます』


「光？」


『そうです』


今はちょっと影が薄くて埋もれちゃってるけど。


『こんなとこで終わるような奴じゃありません』


だから、まだ諦めないで。


.

prev｜back｜next