2年秋、桃井は (4/6)
「あれ、これなんだろう?」
部室を片付けていたら、くしゃくしゃに丸められた出席簿が見つかった。しかも大量に。
「わっ、1年の頃のだ懐かしー」
一年前っていったら、私まだ二軍のマネージャーばっかりしてた。
「へー青峰君、昔はちゃんと練習してたんだ…………んぉ?」
知ってる名前や知らない名前、辞めていった人の名前がたくさん並べられた中に、ひとつだけ二重線で消された名前があった。
「これ…?」
カレがバスケ部を辞めてたなんて、私が把握してないとはなんかショック…なんでか、
「…んー、分かんない」
こういう時は聞いて回るのが一番。
「ねえ青峰君、なんで辞めたか知ってる?」
シワを最大限伸ばした出席簿をみせながら聞いた。
「………」
「どう?」
「………知らね」
「そう」
興味のなさそうな態度と気の抜けた返事を返される。
ただ、あの青峰君が一瞬悩む素振りを見せた。
「じゃあミドリンは知ってる?」
「………交通事故で」
「適当に言ってない?」
とにかくなんでもいいから答えなきゃって思ってるでしょミドリン。なんか顔色悪いし変な声。
嘘ついてるのバレバレ。
「じゃあムッ君は?」
「えー、お菓子作りに目覚めたんじゃない?」
「それはムッ君の願望でしょ」
確かに彼はよくお菓子を作ってくれたけども、スイーツ男子は否定してたよ。
「でもたまにケーキ作ってくれる」
「え…」
前々から甘党だとは知ってたけど、ホントに彼はスイーツ男子に目覚めた?
考えれば考えるほど、彼の行方は謎だ
「ね、きーくんはこの人………知らないよね。なんでもない」
「えっ、なんっスかいったい?何でオレだけスルー!?ダメ元でも聞いてほしいっス!」
「知らないってしってて聞くとか時間の無駄じゃん」
「桃井っち冷たー」
「はいはい」
きーくんが一軍来た時にはもう完全に名簿から消えてるからねこの名前。だから絶対知らないと思う。
ちなみに私が一軍のマネージャーを本格的に始めたのもきーくんと同じぐらいの時期。
「これだけ聞き回っても手がかりゼロなんておかしい!ねえ赤司君なら知ってるでしょ。彼はどうしたの?」
「ダレそれ知らない」
「あれ?」
あまりにも素っ気ない素振りで、しかも名簿をちっとも見なかった。
「なんで皆知らないのよ」
それとも私が知らないだけ?
一軍の消えた部員
(ごめんな、さつき)
(その名前はタブーなのだよ)
(赤ちんの機嫌が悪くなるから)
書き終わったあとに黒子君の存在思い出しましたOrz多分さつきちゃんも黒子君の存在忘れてます
prev|back|next