2年初夏、青峰と (3/6)
「あー、涼し」
こっそり抜け出して体育館の外で日向ぼっこをしている。
しかしそれをとがめる人はだれもいない。オレは要らないものだもの。
「やんなっちゃうなー」
ペア練では必ずあぶられるし雑用ばっか押し付けられるし…もう邪魔しかしてない
「なにやってんだー」
「あ、大輝」
後ろから見下ろされる。
汗だくなところをみると、クールダウンに来たみたいだ。
「さぼりか」
「ちげぇやい」
「ふーん」
大輝もオレの隣に腰を下ろした
「……なあ」
「ん」
「大丈夫か?」
「なにが」
「その傷」
「……別に」
オレの腕や足や顔。洋服で隠しきれない場所に痣や擦り傷がいくつかある。
「このくらい、なんてことないよ」
試合の度にキツいディフェンスかけられたりわざと取りにくいパスがだされたりは、一軍からこぼれ落ちた者にはよくあることだ。
「皆、一軍に上がるために必死なんだ」
そのため、上から下りてきたそこそこ"巧い奴"ってのは潰しの対象になる。
「オレは認めてねぇけど」
「なにを」
「お前が二軍に行ったこと」
「………」
そんなことオレに言っても困る。決めたのはオレじゃないもの
「ずっと待ってるからな。こっちに帰ってくるの」
「待たなくていいよ」
多分一生戻れないから
「は?なんで?」
「ん、ヒミツ」
言ったらオマエ、征十郎に喧嘩ふっかけるだろ。それだけは絶対やめてほしいんだ。
「じゃあお前も辞めるのか?バスケ」
「それはまだ決めてはないけど」
でもいづれはそうするしかなくなるだろう。
征に嫌われた奴が無事だった例は過去に一度もないし。
「……そんな顔すんなよ大輝」
同じ学校にいるんだからいつでも会えるから。
「でも、お前とバスケをしたいんだ」
「黄瀬がいるだろ」
「黄瀬はまだ硬い。お前とやるバスケの方がいい」
「そのうち馴れるから」
だからそんな顔すんなって
「分かってくれよ大輝」
サヨナラが、言いづらくなっちまうだろ?
オレだって寂しい
(ごめんね)
(ごめんね)
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