オセロゲーム Part2 | ナノ
死線を越える (4/4)





 グツグツ、
  トントントン…



火神君がカントクを指導し初めてから30分ほど経過していた。

『ちゃんとカレーだ…』

目の前に出されたのはさっきとは比べものにならないほど輝いてるカレー


「いい!いいよ、うまそう!!」

「カレーだよカンペキ!」


よかったよかったと、皆で安堵する。


「こんどはバッチリよ!さ、どーぞ!」

「「「「いただきまーす」」」」


全員一斉にカレーを一口食べた。


『(あれえ────!?)』


思考が止まってしまいそうな酷い味は依然変わらない。まあ良くなったと言えば歯ごたえくらいか


「ウソっっ!?なんで!?また失敗!?」

「火神、一緒に作ったんじゃないの!?」

「そっすよ!味見もしたし!」

「じゃなんで!?」


ハンドパワーでも持ってたりするんじゃなかろうか。


「もうオレらに言えることは、カントクの料理の下手さは人智を超えてる…」

「逆にすごいななんか!!」

「そうですか?」

『なんだって?テツヤ』


繊細なテツヤの舌が、度重なる酷い味のせいでバカになってしまったのだろうか。ああ嘆かわしかな。


「おいしいですよ」

「黒子もういい!ムチャするな!」

「いえ、本当に……」

『えええー』


テツヤのカレーだけ、特別だったりすんの?


「……黒子もしかして、自分でよそって食べたのか?」

「はい、忘れられたので…」

『それがどうしたんですか鉄平さん』


カントクがよそるから美味しくないとでもいうのか失礼だな。


「リコ、もう一度よそってくれないか?」

「いいけど……まずゴハンでしょ。で、ルーをかける前に」


カントクは説明を加えながらゆっくり皿にご飯を盛りつける。


『…カントク、それは?』


そしてルーをかける前に何か振り掛けていた。


「あ!チーズかかってたんだ……凝って」

「いや……!?何それ!!?」


よく見ていると、チーズをかけているのではない事がわかった。
もっと固形なモノ。


「何って……プロテインとかビタミンC粉末とか」

「それだ!!」

『それが不味い原因!』


錠剤なんて噛んで味わうものじゃないんだから、そりゃ不味いわけだ。


「カレーだけじゃバランス悪いでしょ?」

「だったらサラダとか、てかコワイよ!!とにかくサプリメントやめて!!」


原因がわかったところで、今度はサプリメントなしのカレーをいただくことに。

『「「「普通だ────!!」」」」』

「ちょ……そこはおいしいって言いなさいよ!でも原因は分かったわ!もう大丈夫よ!」


こうしてカントクの料理は上達した───かに見えたが。


「できたわ!2品目はよせ鍋よ!」




 ゴト……




「さっ、めしあがれ!」

『いやあの…』


真夏のメニューになぜ寄せ鍋なのかとか、そういうツッコミは置いとくとして、2品目のよせ鍋……これ、材料がそのまま煮られている。


「あれ?」


上達したのはちょっとだった。


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