オセロゲーム Part2 | ナノ
ねらい (4/4)





「直也君」

『わぁお!』


背後からの突然の声に、危うく飲みかけのコーヒーを落としそうになる。
胸に手をあてると、バクバクと鼓動が伝わってきた。


『テツヤじゃないか。どうした』

「いえ…直也君が見えたので挨拶でもしておこうかなと」

『ああそう…』


その口振りだと、さっきすれ違ったのは全然気付いていないようだ。


『そういやテツヤ、やけに元気な顔してるようだがもういいのか?』

「え。あ、はい。もう迷いは消えました」

『そ。ならよかった』


中で主将と何があったかはしらないけれど、今のテツヤの表情を見ればだいたいのことは想像がつく。
こういう迷える子羊を本来の道に戻してくれる先輩ってやっぱり凄いんだなと、改めて思った。


「あ、じゃあボク行くところがあるんで」

『いってらっしゃい。ちゃんと仲直りしてくるんだよ』


走りだした彼に手を振ってやったら、テツヤはほんのり笑ってくれた。
……気がした


『相変わらず読めねぇな』


でもそれだってテツヤの魅力のひとつだ









『主将ーテツヤに何話したんですか』


黙々とシュートを入れ続けていた主将に、オレがコーヒー買ってる間に何があったか尋ねた。


「アイツがレギュラー外してくれだなんて言うもんだからな、ちょっと叱り飛ばしてやった」

『そうなんですか』

「ああ。でももう大丈夫そうだから余計な詮索をしてくれるなよ藤井」

『あいあいさー』


別に他人の事情に口をはさむつもりは無いし。

『(自分自身があれこれ言われるの嫌いだかんね)』

だからオレは人に干渉するのが苦手なのかも




「おーっし、そろそろ帰るか藤井」

『え、はい』


十分練習して満足したらしく、主将はボールを片付けてさっさと体育館を出る。
オレもそれに倣った。


『そういえば主将、なんでわざわざオレを呼んだんです?』


シュート練ならひとりでもできるだろうに。


「だって、そりゃあ…」

『?』



「体育館って何か出そうだろ?」



『……はあ、』


ここは出来たばっかの新設高なので幽霊やオバケといった類いのものは出ないと思いますが。


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