ねらい (3/4)
───ドンッ
『わーお。さっすがー』
火神君の力強いダンクに、徳進の選手は手も足も出なかった。
────ヒュッ!
対してテツヤも、鉄平さんが言うほど調子悪いようには見えなかった。
ただ、テツヤからのパスは今日一度も火神君にいってないけど。
『なんだろ』
故意なのか不意なのか、ベンチから見てるだけのオレには判別つかなかったが、しかし会話も無いのは心配だ
「試合終了!55対51で誠凛高校の勝ち、ありがとうございました!!」
「「「ありがとうございましたー」」」
点数が伸び悩んだ試合だったけどもそれでも誠凛は勝った。
なのに心から喜べないのはなんでだろう。
***
試合後、オレは主将に連れられて体育館でシューティング練習をしていた。今のところノーミス
『主将ーあと10本やったら帰りませんか?』
試合後で眠いんですよ、とっても。
「んなこといっても、オレ試合でてねぇから体力ありあまってしょーがねーし」
『そうですか。じゃあオレ飲み物買ってくるんで』
「おう」
主将が再びシュート練に入ったのを確認して、オレは外にある自販機へ足を向けた。
コーヒーでも飲んで眠気を覚まそう
『……あれは』
自販機にいく途中、こっちへ来るテツヤが見えた。
『おーい。どうした?』
「…………」
『?』
声をかけたのに、テツヤはオレには目もくれず、隣を通り過ぎて中へ行ってしまった。
なんだろう。深刻な顔して…
『ま、いっか』
中には主将がいるし、何かあったらなんとかしてくれるだろう。
オレは自販機に小銭を入れてボタンを押した。
『やっぱ微糖に限るね』
これ飲んで、少し休憩したらいい加減帰ることにしよう。
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