ねらい (2/4)
「カントクこれ…どーゆーつもり?」
「あいつがどーしてもね。一年生の試合も見たいって」
説明を求めた主将にカントクは視線でそれを示した。
「鉄平!なんだよ一体?」
「ん〜?」
どう答えたらいいものかと、鉄平さんは口籠もった。
『ああ、それは…』
「んーにゃ、オレ分かったよ!」
『コガ先輩?』
フッフッフ、と小金井先輩は得意気になっている。鉄平さんの言わんとしている事が伝わったのだろうか。
「この試合たぶん負けるでしょ?」
「は!?」
「最近火神はプレイが自己中になってる。けどそれじゃ勝てない。だからわざと負けさせて、一人が強いだけじゃ勝てないことを教えるつもりっしょ?」
『コガ先輩、それだ』
この前鉄平さんがカントクに提案したのは一年だけで試合させたいというものだけだったが、小金井先輩のを聞くと納得いく。
つまりはそういう…
「ああ…
なるほど!すげーなコガ」
「あれっ!?」
『えっ、違う?』
小金井先輩の推理通りかと思いきや、鉄平さんはそんなこと全く考えていなかったようだ。
「えっ、いやだってさ……」
「ん〜まあ…なくはないけど。火神ってさ、そーゆーの言われなきゃ気づかないほどバカなのかな?」
「えっ、うーん……バカだが」
『すみませんバカなんです』
テストの散々な点数を思い出してしまうと、否定はできなかった。
「迷いや悩みは感じなかったけどな、オレには…むしろ何かに気づいてほしいとしたら、黒子君の方だよ」
『テツヤ…』
オレはコートを見た。
確かに火神君はプレーこそ荒々しかったが、がむしゃらで何も考えていないわけではなさそうだった。
むしろ鉄平さんが言うように、テツヤの方が重い悩んでいるみたい。
『大丈夫かな』
テツヤ、1人で悩んで思い詰めるとすぐ逃げしちゃうクセがあるから。
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