オセロゲーム Part2 | ナノ
対面と印象 (3/4)






 ───ガツッ



『コガ先輩危なっ!』

「うおっっ!!?」


ダンクをした火神君が危うく遅れて入ってきたコガ先輩に直撃するところだった。


「ファウルよ。ちょっと火神君!!何やってんの!!強引過ぎよ、もっとまわり見て!!」


カントクがホイッスルを吹く。
注意を受けた火神君は苛立ち顕に舌打ちした。


「ちょっ……何?やけにピリピリしてない?」


ひょっこり入ってきた小金井先輩が伊月先輩に聞いた。


「コガ……いや火神がな、最初は集中してるせいだと思ったんだけど……何か違うんだ今までと。プレイがやたら自己中ってゆーか、むしろ入部したての時に戻ったみたいな……まるでまわりに頼ろうとしない、一人でバスケやってるみたいだ」

『……オレも、同感です』


きっとコートにいるテツヤは連携のやりにくさをひしひしと感じているだろう




「……なあ火神君、ちょっといいか?」


話しかけづらい雰囲気の火神に、鉄平さんは気にせず声をかける。


「オレも早く試合に出たいんだけどさ、上級生だからって戻ってすぐ出してくれってのも横暴だと思うわけさ。だからよ、勝負してくんねぇ?1対1、スタメンを賭けて」

「は?」

「木吉!?」


コレにはみんな驚きを隠しきれない。よりにもよって火神君とそんな約束するなんて。
軍配は火神だろうと予想がつく。


「だからヤなんだよあいつは!いつだって全力で、バスケバカで、ボケてて、そんで、いつも何か企んでる」


主将が長くて深いため息をついた。もう何度目だろうか




「今……なんて?」

「マジで?」

「ユニフォームをかけて……火神と木吉センパイが1対1!?」

『ただのこじつけだろ』


もっともらしい理由はつけてるが主将が言うように、鉄平さんは何か企んでるんだ。


「いいすけど。ブランク、相当あるんすよね?手加減とかできねぇすよ」

「モチロンだ。本気で頼むぜ」


そうして、試合が始まった。


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