光は休養中 (2/3)
***
「つか鉄平のことも気になるけどよ、火神大丈夫か?」
「そういえばもう一週間見てねぇな」
「安静らしいけど、見学には来いって言ってあんだけどな」
部活が終わって、部室で制服に着替えていると先輩方にも火神君のことが話題になった。
やっぱり皆さん心配してるようだ。
「いくらケガでもバックレとはいい度胸だ。こんどシバく……!!」
『主将、落ち着いて』
クラッチタイム以上に恐ろしい顔になる主将。
冗談ではない。マジもんだ
「黒子、なんか知んねー?」
「え?」
「クラス一緒だろ。つか席前後じゃん」
『前後だったの!』
あんなうるさくて落ち着きがないのが始終近くにいるとは。同情するよテツヤ。
オレにもいるからさ、視界の隅をちらついて離れない柏木(バカ)が。
「いえ……喋ってません」
「一週間一言も!?」
「はい」
『まー、たしかにお前は無口だけども』
1週間は長すぎだろ。
オレだって、まだクラスメイト全員の顔と名前を覚えたわけではないが挨拶くらいはちゃんとしてるのに。
「いや……聞けよ少しはなんか!!」
「すみません。けど最近ちょっと火神君、話しかけ辛いので」
テツヤはちゃちゃっと着替えを終わらせるとドアを開けた。
『お疲れさんテツヤー』
「はいお疲れ様です。それでは」
ドアの向こうに消えたテツヤの足音が扉ごしに聞こえて来る。
左へ曲がっていったようだから、おそらく体育館で自主練でもしてから帰るのだろう
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