似た者同士 (2/3)
「流石ね、黒子君は」
カントクはテツヤを見つめて言う。
『…そうっすね』
あのタイミングで見せつける度胸と的確さ。
やはり彼は「6人目」なんだと、再確認させられた。
『ただ……』
1つ懸念がある。
「ん?どうしたの、藤井君」
オレの呟きを聞いてしまったカントクが聞き返して来た。
『え、何も言ってないですよ』
オレはとっさに空耳ですと答えた。
だってまだ確証がない
…ないけれど、
『(うちのパスの通りが悪い…)』
きっと気のせいかもしれないけど、テツヤがいるのにボールがスムーズに動かないとどうしても気になってしまう。
それは、秀徳のパスワークが滑らかだから余計にそい見えてしまうのだろうか……
『だとしたら、』
あの高尾という人物は要注意すべきかもしれない。
高尾君を暫く観察するこてにした
───ダムッ
ボールを持った高尾が伊月に行く手を阻まれる。
しかし彼は片手でボールを操ると、あっという間にディフェンスを突破した。
「いいえ。まだ水戸部君がいるわ」
カントクの言うとおり、水戸部先輩がヘルプで高尾の前に。
しかし高尾君はにんまりと笑うとノールックで背面パス。
その先には大坪がいて、彼はシュートを決めた。
『やはり、あの動きは…』
ただ人じゃない。
まるで上から眺めているみたいに人の動きをよく読み、誰よりも先に動いていた。
その後、誠凜ボールでリスタート。
ボールは順当にテツヤにまわされタップで水戸部先輩へ。
コレも決まる。
『……似てる』
高尾君とテツヤのパスワーク、どことなくそっくりだった。
.
prev|back|next