01
なんで部活に来ないのよ週末に試合があることわかってるのサボってないで練習来なさい。……さつきの言葉が頭の中でループする。いったい何度言われてきただろうか。もう耳にタコができてひっついたまま取れやしねぇ。
あー、サボるか…
部活に顔出してもどうせ小言を二つ三つ言われるんなら行かなくても同じだろ。あ、ついでにコンビニ寄ってコンポタ味のゴリゴリ君買うか。今キャンペーンかなんかで梨とかプリンとか奇怪な味がたくさん出てるらしいけどその中でもやっぱり気になるのがコンポタだろ。不味いって評判だからついでに食ってやろう。
400円のお釣ですありがとーございました。
なんだ普通のゴリゴリ君より高いじゃねぇか。食ってみれば噂通り不味いし、やっぱ温めてもらえばよかったぜ。あー気持ち悪い。なんだか胸焼けみたいなのもしだしたし、これはどっかで休んだほうがいいかもしれない。
辺りを見渡すと丁度、寺があった。よし、あそこで昼寝でもして帰ろう。
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やべぇ超寝安そうな寺みっけ。学校近くにこんな快適な場所があったなんてな。雑草も枯れ葉もゴミもないからぐっすりイケそう…
「あん?どうした坊主」
「あ…」
縁側よさせうだなーなんて思いながら本殿に近づいたら中から誰か出てきた。ああ、ここの坊さんか。っつーかアンタのほうがまんま坊主じゃねぇか。
「なんだサボりか?」
「あ、いや、」
近づいてくる坊主は最初はデカいと思ってたけどちがかった。縦にデカいと言うよりなんかゴツイ。そして人相悪いな。
「あっはっは、そうかサボりか!この時間はそこの縁側が日当たりいいから昼寝でもしてくといい!」
ただし寝過ぎて風邪引くなよ!と笑うと坊主は奥へ入っていった。見た目によらずけっこう優しかった。よし今度から昼寝場所はここにしよう。
そよそよと風が気持ちよい……
……くん、……みねくん………
「青峰君」
「ふがっ!!?」
誰かがオレを呼んでいる。って頭が正常に機能した時にはもう鼻を摘まれて息ができなくなっていた。やべぇ死ぬ!本能でそう悟り、とっさに飛び起きたけど、もしかしたら夢で見たあの小川は三途の川だったかもしれない。
「…って、そーじゃなくて」
お前なんだよ。目の前で仁王立ちしてる女に尋ねた。
「なにって?ここ私の家ですけど」
「お前んち?ってことはオマエも坊z」
「そんなわけないじゃないですか」
「ってえ…」
スパン!といい音たてて、オレの後頭部が鳴った。冷静に、しかも確実に叩かれた。いったい何でやられたかと思えばちりとりだった。きったねぇな。
「そろそろ起きないと風邪引きますよ」
「へいへい」
まったくうるさい小姑みたいだった。これ以上くどくど言われるのもめんどくせぇし、今日のところはおとなしく帰ってやろう。
「ちゃんと真っ直ぐ帰ってくださいね」
「わーってるよ」
縁側から降りてカバンを掴みオレは寺を出た。そういえばあの女どこかで見た気がする。感情を隠してるような口調とやけに心配性なとこ。どこかで合った気がする…いや、誰かに似ている気がする。
まあいいか。(あの女、なんでオレのこと知ってんだ?)(…まあいいか。)
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