誕生日小話 | ナノ
青峰大輝





「ぐっもーにん大輝!今日は一段と素晴らしい朝がやってきた、よっ!」

「ぐへぇっ!?」


私は半開きのドアを開け放ちベッドで腹を出して…いや上半身裸で気持ちよさそうに熟睡中の大輝のそこにダイブした。
仮にもスポーツマンなので、やはりしまってるトコはしまってるらしくダイブした私もなかなか痛かった。
この夏休みをほとんど食うか寝てるかしかしてないのにどうして腹筋が6つに分かれるのか不思議でならない。


「真さんもこんな風に割れると…いや、やっぱり今のままでいいや」


大輝のような高身長で男前ならいざ知らず、真さんみたいな普通の顔した麿眉が筋骨隆々だったら全力で引くわ。私マッチョ好きじゃないから。


「おい」
「はい?」
「いつまで腹の上に乗ってんだよ」
「あ、ごめーん」


ダイブしたままずっと馬乗りの状態だったのを思い出す。
私は、大輝によって荷物を持つような雑な扱い方でベッドの上へとおろされた。


「ちょっと扱い方ひどくない?真さんの方がやさしいよ!」


彼は仏頂面でツンデレだけど一応気の効いたことはしてくれる。


「っつーか、ちょいちょい出てくる真さんて誰だよ」
「部活の先輩だよ」
「男か女か」
「男だよ」


すると着替えのために立ち上がってクローゼットに向っていた大輝が何もない所で転けた。


「おまっ、その……コレか?」
「は?」


痛みを感じる右足を押さえつつ引きつった顔で親指を立てる大輝。
ははーんなるほど、言わんとしてる事は分かったぞ。


「さあー、それはどうでしょうかねぇ?」


なんて、ちょっと意地悪をしてみる。すると大輝はさらに動揺し始めて、平静を保とうとしてるがシャツは裏表逆にして着ようとしてる。


「その顔は絶対コレがいるだろ」
「さあねー」


ベッドの縁に座って足を組んだ。ついでに腕も組む。
大輝は、ムムムと無い頭を一生懸命動かしてるがそろそろショートしそうだ。


「じゃあ、今日が何の日か当てられたら…教えて上げないことも無いかなー」
「今日?…8月31日………」


大輝はシャツを裏表逆に着たままカレンダーとにらめっこを始めた。


「ああ分かった」
「答えは?」

堀北マイちゃんの写真集発売日


どうだ当たりだろう。
大輝の顔がドヤッとしながらそう語っている。


よし、お前にはさつきの手料理をご馳走してやる


今日のためにわざわざホールケーキ持参で里帰りしてやったのに、なんだよ写真集って。


「あ?ちげーの?」
「当たり前じゃぼけぇ!おっぱいなんて知ったこっちゃねぇんだよ!」


このガングロエロスケが!と思わず枕を投げ飛ばした。当然、このガングロエロスケは難なく受け止めやがったが。


「じゃあ何んだよ」
「もう知らん!ホールケーキはあたしが1人で食う!」


私とアンタの記念日を忘れるとかマジであり得ない。
腹が立った私は履きかけのズボンとパンツを一緒に下ろして膝かっくんで倒した。
大輝がなにかわめいてるが気にしない。私はケーキを食べにリビングへ向かった。


「悪かったって!冗談に決まってんだろ機嫌なおせよ」


あとから降りてきた大輝に拝み倒されるがここで許してしまっては意味がない。
気付くまで口きいてやるもんか。


「だからちょっとからかっただけだって!誕生日ぐらい覚えてるからオレだって」
「……ほんと?」
「ああホント」


だからケーキを食わせろと、大輝は私の返事を聞かずに大口をあけてフォークから奪っていった。


「…ありがたく頂きなさいよ」
「へいへい」


美味しそうに頬張る大輝。
来年はビターチョコにでもしようかな。




8月31日
happy birthday 青峰


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双子妹と誕生日ネタでした。妹は霧崎に通ってるんだぜっていうどうでもいい(かもしれない)設定。


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