後半も全力 (1/3)
「オッケ、ナイスファイ!」
「15点差!?スゲェ!!」
『お疲れさーん』
選手達は皆、満足気な顔で帰ってきた。
この調子のまま試合にのぞんで欲しいものだ。
「マジすげっス!てか圧勝!?」
「何言ってんの!むしろここからが大変なのよ」
『ん、テツヤは交代するからな』
するとテツヤは無言でうなずいた。
てっきりまだやれると言うと思っていたが、意外とテツヤは冷静であったようだ。
「ここからしばらく黒子君は温存しなきゃならないわ」
カントクさんが試合方針を語っていく。
つまり、パパ以外は雑魚だから火神がうまくパパを押さえてくれればどうにかなるよ。って話だ。
「まかせろ!っスよ!」
『頑張ってー』
「うわっ、なんて棒読み!」
棒読みは元々です。
アイデンティティーなのです。
「っつーか、藤井は試合にでないわけ?」
『今回は出ない』
火神君が頑張ってくれてるおかげで、オレが出ずとも試合に勝てそうな勢いだから。
「藤井君は一発屋だからね!そうホイホイだすわけにはいかないわ!!」
初っぱなからだすと後々レパートリーが無くなるでしょ。とカントクさんは言う。
『ははは…』
確か、皆さんに見せた事あるのはドリブルで来る相手からボールを奪うスチールくらいだもんな。
オレの得意がそれだけだと思われるのも仕方ない。
「藤井君の少ないレパートリーがこれ以上減ったら可哀想だからね!」
『………』
カントク、その言い方凄く落ち込むんですけど。
皆も納得しないでくださいよ。
「直也君気を確かに」
『テツヤ……』
その中で1人だけ、隣に座ってる彼だけはオレを気遣ってくれた。
「スチールとロングシュート以外にもいいトコがあるの、ボク知ってますから」
『ありがとうテツヤ!』
流石テツヤ。
やっぱり持つべき者は旧友だな。
「それでは第2Q始まります」
ブザーがなって、選手達は再びコートの中に戻っていった。
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