誘惑に負けたの (1/3)
ぴぴぴぴぴ…
携帯が鳴った。
よく目覚まし時計かと勘違いされるのだがちょっと違う。
『んだよ、こんな時間に……』
メールが来た。
目覚まし時計みたいな着信音が部屋中に鳴り響く。
現在時刻は日曜午前2時。
『ふざけてる』
いつまでも鳴り止まない着信音をとめるため、オレは布団から這い出た。
『マナーモードにしとくんだったなぁ…』
先輩とか監督とかが真夜中だろーが超朝方だろーがお構い無しに連絡を寄越してきてた中学時代。
いつ連絡が来ても良いように、寝てても直ぐ気付けるように着信音はメールも電話も目覚まし時計みたいな音にしてる。
『今はもう昔の話だけど』
クセがついちゃって、今も変わらず着信音はコレ。
もしかしたら近所迷惑になってるかもしれないけど…今更だからお隣さんも諦めてるだろ
『誰からですかーこんな時間に』
携帯をスライドさせると音がピタリと止んだ。
『伊月先輩から?』
ロックを外してボックスを覗く。
『11時にマジバに集合?』
なんで?
せっかくの休日ですよ。
行きたくないオレは理由を聞くために返信した
『………あ、返信速』
すると、サーティワンのアイス奢るからおいでと返ってきた。
『よし行こう』
行きますと即返して、再び床に就いた。
『おはようございます伊月先輩』
オレがマジバに着いたのはきっかり11時。
先輩はもう飲み物買って待っていた
「おはよう藤井。ずいぶんラフな格好してるんだね」
『あー……まあ、』
ダメージジーンズにパーカーという、お洒落っ気のない自分の服を見下ろした。
だけどスニーカーはアディダスのやつだ。ブランドだ。
『それじゃ、早速アイスを食べに行きましょうか』
「待て待て藤井。先ずは早めの昼食を食べてからだ」
『えー』
奢ってもらえると聞いて、朝食抜いてきたのに。
トリプルを3つ頼むつもりだったのに。
「えーじゃない。ほら、メニュー決まったら頼みに行くよ」
『あーい』
オレはシェイクとフィレオフィッシュを頼んだ。
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