日向が見た、ある日のカレ (1/1)
「はーい、じゃあ15分休憩入れまーす」
「うーす」
カントクがそう言うと、多くの部員は床やベンチに座って休憩する。
しかしある者は引き続きシュート練。
またある者達は楽しく雑談。
そして藤井は……
体育館脇の芝生に座り込んでいた。
「またアイツは…」
いかにも人間には興味ありませんみたいな顔と性格の藤井。
そのくせ、たまに寂しそうな表情をみせる藤井。
そんな彼は今、楽しそうに芝生に座ってる。
「あのなぁ藤井。休憩時間はあくまで休憩時間はであって、ティータイムじゃねぇんだぞ?」
『あ、主将。食べます?』
「……人の話聞いてた?」
藤井は何食わぬ顔で板チョコを差し出してきた。
コイツ、オレをばかにしてるのか?
『バカになんてしてませんよー信頼してますよー』
「なんて棒読み」
まあ、そんなところもコイツらしいのけど。
「今日は何食ってんだ?」
『ミルクの板チョコとシュークリーム』
「…うわ」
考えただけで胃もたれしそうなメニュー。
というか先輩に対して随分素っ気ない答え方だな。
「太るぞ?」
『その分練習で消費してるからだいじょぶです』
「そういう問題じゃねえだろ」
モグモグと板チョコとシュークリームを交互に頬張ってる姿見たら、なんだか怒るに怒れなくなってきた。
「甘いの好きか?」
『好きですよ』
頬にクリームつけて笑う藤井。
「まあ…やることやってくれればそれでいいや」
やんわりとティータイムを止めさせるために来たのに、いつの間にか藤井のペースに乗せられてしまった。
「食い過ぎて気持ち悪くなったりするなよ」
『そこんとこは大丈夫です。プロですから』
「どんなプロだよ」
話し方素っ気ないし態度も火神並にデカい藤井。
なのに、不思議と嫌いだとは思わない。
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