オセロゲーム | ナノ
ほどよく仲良し (1/2)





『あ、タオル忘れた』


靴どこ脱いだかなーって考えたらタオルを持ってないことに気付いた。


『黄瀬んとこだー』


イヤだイヤだと思っても、あのタオルはオレのじゃないし。

取りに行かなきゃ。



そしてオレは扉を開けた。


『……あれ?』

「……久しぶりなのだよ、藤井」

『うん、久しぶり真太郎』


そこには黄瀬ともう一人。
オレのよく知ってる顔が



「……フン」



あら、鼻で笑われた?

真太郎は直ぐに視線を黄瀬に移した。



「…だが先に謝っておくよ。秀徳高校が誠凛に負けるという運命はありえない。残念だがリベンジは諦めた方がいい」



話の流れは分かんないけど、なんかイラつく。



『それはどーいう事かな?』

「どうもこうも、単に実力の差なのだよ」

『それは、オレがいても変わらないのか?』



一歩一歩、オレは真太郎に向かって歩く。


「少なくとも、今のオマエには脅威を感じない」

『今のオレ、ね……』


ならば昔のオレはどうだったのだろうか


「昔のオマエは勝利に貪欲だった」


『勝利かぁ……』


その2文字に、思わずため息がでる。


『勝つのにはもう……飽きたわ』


こてん。と、力なく真太郎の胸に頭を預けた。



「なっ…」



オレの言葉を聞いて、黄瀬がびっくりしている。

そりゃ分かんないよね。
勝負事に冷めた人間の気持ちなんて



「……それより藤井」


『なんだい真太郎』



彼の胸から頭を話して、見上げる



「身長、伸びたか?」


『の、伸びたよ!』



これでも成長期。
ちゃんと伸びてるのだからバカにしないで欲しい。



「そうか?それにしてはオレとの差があまり縮まってないのだよ」



真太郎はオレの頭をぐしゃぐしゃと撫で始めた。



『オレ、二年間で10センチ伸びたんだよ!?』


「ほう。では今はいくつだ?」


『うっ………』



なんでコイツは、そーいうひとの気にしてる所を普通に聞くのだろうか



『172になった!』


「小さっ」



ブふぉっ、と吹き出した黄瀬を黙殺して黙らせる。


『お前らの身長が規格外なんだよ』


うらやましいんだよコノヤローって。


「それは人事を尽くしているからなのだよ」


『またそれだ』



真太郎の手は頭から離れ、メガネのブリッジ部分を押し上げた。


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