戦って知ること (1/3)
「上等だ!!黒子ォよこせ!!!」
火神がまたダンクした。
『単純な奴らだこと……』
それを皮きりに、ランガンのハイスピードゲームが始まった。
見てるこっちは、首が疲れてしょうがねえ。
「むっ!?」
「後ろにフェイダウェイ!?」
火神はシュートをする。
しかし黄瀬に阻止され、ボールを奪われる。
『おお……』
奪ったボールを、黄瀬はまったく同じフォームで放った。
『……しっかし、随分とレパートリーがあるようで』
そろそろ出尽くしてもいんじゃね?
っちゅーわけで、
『カントクさん、TO頂戴』
「え?」
『火神君の頭を一旦冷やさないと…』
火神がムキになって挑めば挑む程、黄瀬はそれ以上の力で返してくる。
このままではこちらが追いすがるので精一杯でジリ貧。
火神のガタが先に出てくるのは目に見えていた。
「そうね、そうしましょうか」
危機を察知したカントクさんはTOを取るために席を立った。
「誠凛TOです」
帰ってきたメンバーはかなり疲弊困憊している。
『大丈夫か?ほら、タオル』
「ん、ああ…サンキュ」
中でも、火神君の疲労具合が異常だった。
「とにかくまずは黄瀬君ね」
「火神でも抑えられないなんて……」
「もう一人つけるか?」
「なっ……ちょっと待ってくれ……ださい!!」
「ださい……?」
『プッ』
敬語が苦手らしい帰国子女の火神君の日本語はちょっとおかしくて、笑いが込み上げる。
「……いや、活路はあります」
『そうだな。別に黄瀬に2人もつく必要ない』
いくら「キセキの世代」だとて、完璧では無いのだから。
「彼には弱点がある」
テツヤは断言した。
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