投げたボールの行方 (1/1)
「オマエのパスは、もう取らない」
アイツは言った。
オレには意味が分からない。
『なぜ?』
オレは問うた。
しかし答えは聞けぬまま、
アイツは遠くへ行ってしまった。
『なぜ……』
思い起こせば、
その時からだったと思う。
バッシュと床の摩擦音。
ボールがリングに弾かれる音。
それらが総て、耳障りだと感じるようになったのは。
『オマエがいなきゃ───』
強くなることにも、
勝つことにも、
なんの魅力も感じない。
オレが運んでオマエがシュート。
それだけでオレは幸せだったのに。
とうとうオレは、バスケを諦めた
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