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バスケ部の本気 (1/3)





「直也ー見てみてラブレター!」



朝、柏木が白い封筒を片手にやってきた。



「もちろん君宛てだよー」

『またか……』



あの日にバスケをして以来、毎日のようにオレに白い封筒が送られてくる。
下駄箱や机の中、最近では柏木も使ってきやがる。



『何度送っても同じなのによ』



オレは手紙を破った。



「あ、何してくれんの直也!!毎日毎日バスケ部のカントクさんがご丁寧に封筒に入れてシールまで貼って足繁く持ってきてくれてると言うのに!」


『わー!柏木、ギブ、ギブ!』



柏木に背後から首をしめられた。
コイツ、わりと本気だ。



「なんでヤなの?巧いのに」


『やりたいと思わないから』



こんどは柏木は後ろから体重をのせてきた。

……重い。



「でも嫌いじゃないんだろ?」


『…………』


「だったら入部しちゃえばいいじゃん」



ようやくオレから離れた柏木は、先ほどオレが破って机の上にちりばめた封筒を集めだした。



『だって、迷惑だろ』


「カントクさんもそーいうとこ承知の上で毎日オレに封筒渡してくるんだぜ」



柏木は集めた封筒の中から破れて使い物にならなくなった入部届けを取り出す。

そして一枚一枚丁寧に広げて、繋げていく。



「オレにはお前がそこまでバスケを避ける理由がよくわかんないけどよ……」



一言一言。いつもの早口言葉ではなく、ゆったりと噛み締めるように語る柏木。
オレはソレを、黙って聞いた。



「今バスケ部に入んなかったら…お前さ、一生後悔するぜ?」


『………っ』



後悔するぜ。
その言葉を聞いた瞬間、柏木を殴りたかった。

…人の気も知らないで!



『後悔?はっ!お前に言われなくたってわかってるさ!!』


「……………直也」



俯いて声を荒げたオレに、柏木は驚いていた。



『後悔ならバスケから離れたあの時からしてるさ』


なんでオレはちゃんと理由を聞き出そうとしなかったんだろうって、ずっと後悔してる。



「直也…」



柏木が心配そうに覗いてきた。



『アイツが居ないと、つまらないんだ』


「……………そっか」



柏木は黙って、オレの頭を撫でた。

その温もりは…いつかのアイツに似ていた。


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