ターゲットは火神 (1/5)
『うわ、はっやー』
タイムアウト後の正邦のパス回しは早かった。
ペルプにつく暇もない。
「ええ!?何だアレ!?」
『貰ってから投げるまでの時間が短いんだよ』
でも早いだけだから、パスコースを特定するのはそう難しくない。
ボールは岩村に渡って、みと先輩がガードに入る。
タイミングはバッチリだった。
『でも、』
岩村は坊主にパスを出す。
彼はフリーだったのでそのままシュート。
『あ!バカガミ!』
古武術の動きに馴れてない火神君は、ディフェンスファウルを食らってしまった。
「ファウル!白10番」
これでファウルが三つ目になった。
『やっぱ、達人さんだなぁ…』
ずば抜けて凄いヒトはいないけど、相当レベルの高い古武術使いがたくさんいた。
「アイトオブバウンズ!白ボール!!」
開始から5分ほどたって、やっと9点差にまで追い付いた。
序盤は12点差だったのだから上々だろう。
『…なんかテツヤも絡まれてるし』
騒音でうまく聞き取れないけど、いつから試合にいたの?みたいな会話をしてるんだと思う。
暫く話した後、試合は再開された
『なんか、話してる?』
ゆったりドリブルしている伊月先輩に、テツヤは何か話してるようだった。
「マジ、ずっとベッタリじゃん…」
「パス回すのもしんどいよ」
『……でも、伊月先輩は何か狙ってるっぽい』
「え?」
福田と降旗はムダに愚痴ってるけど、別にパスコースがゼロと言うわけというわけではない。
皆が気付かないだけで、
『うちの達人は、まだ活きてる。』
伊月先輩が何もない所へボールを打った。
みんなは驚いてるけど
実はテツヤがちゃんとスタンバイしてたわけで。
「なに!?」
岩村さんも、ディフェンスの裏から来たパスには対応仕切れなかった。
『みと先輩ナイッシュー』
点差は7点に縮まった。
「なんだ今のパス?ブーメランみたいに戻ってきた…!?」
「もどってねーよ。誰かがタップして向き変えたんだよ!」
「だれ?」
「…さあ?」
上から見てる観客にも分からなかったようだ。
流石、キセキの世代の「6人目」
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