宣戦布告 (1/4)
I・H都予選、四回戦目。
今日は都内有数のマンモス校の体育館に来ていた。
『なんていうか……でけぇ』
バスケットコートが余裕で2面あるし、席付きのギャラリーまで完備されてる。
『カントクー今日はオレを出してくれますかー?』
「ん?んー……」
いくら高く投げても心配ないくらいの天井を眺めながらカントクに問う。
思い返せばオレ、一試合目に出たっきりでそれからずっとベンチに居座っているんだ。
『見てるのも流石に飽きた』
「そんな事言うなよ藤井。カントクにはカントクなりの考えがあるんだよ」
『伊月先輩……』
多分、オレの得意とかスタイルとかを調べられると困るから、ずっと温存させられてるんだと思う。
『野球で言うと代打者ってとこか。』
ここぞという時に活躍しなければならない選手。
『大事にされてるって言えば聞こえはいいのだろうけど』
40分間フルに任せられる程の信頼が無いのも事実なのかもしれない。
『(オレは別に信頼されてなくてもきにしないけど)』
試合なんて、テキトーにでてなんとなく勝てばいいんだよ。
「おいおい今日の相手って誠凛だろ!?ヨユーだよ。去年決勝リーグでボコボコにされてたじゃん」
試合前の調整中、どこかで聞いたことのあるしゃべり方が聞こえた。
オレは声のしたほうへ振り向いた。
『あいつら……』
どこかで見た顔だ。
「いくら王者相手でもあれはねーって。新設校が偶然勝ち進んじゃっただけだよ!」
オレらのアップ中、ずけずけと入って来たのはいつぞやのチンピラ達だった。
「今年もそうならないようオレらが代わりに……」
『………あ』
よそ見して歩いてた先頭の奴が火神にぶつかった。
「…ボコボ……!?」
「よう、また会ったな」
「こんにちは」
『今日は何用かな?』
チンピラの顔は2人を見たとたん、みるみるうちに青くなった。
「え!?黒子達知ってんの?てか何、このスデに勝てそうな空気!?」
試合中しきりにペコペコしていたチンピラ。
案の定、この試合は腰引けっ放しの相手を108対41で瞬殺。
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