後半も全力 (2/3)
「おお、ナイシュー!!」
パパは第1Qの時よりも高く、力強くなっていた。
「モう本気!!負けなイ!!」
「ハッ、そうこなくちゃな。テンション上がるぜお父さん!」
パパの宣言に、火神もまた気合いを入れて応じた。
『燃えてるなー』
「燃えてますね」
オレとテツヤは、その様子をベンチから見守っている。
火神がいつファールをとってしまうか、ヒヤヒヤなのだ。
『あ、主将がシュート外した…』
しかし火神はパパを押さえてボールを掴み、シュートした。
「オッケ、ナイシュ!!」
「ナイスリバン!」
パパの迫力も増してきたが、火神の集中力はそれ以上に上がっていた。
「どうした、パパ!行けるぞ!!勝負勝負!!」
ボールを貰い、シュートが打てる位置にいたパパ。
しかし彼はパスを出した。
『んー?』
さっきまでのパパなら迷わずシュートをするのに
おかしい…
「もう一度パパだ!」
またパパにボールが渡される。
ホント、彼に頼りっきりってのがよくわかる。
『……あれ、また打たない』
また何もしない。
火神のディフェンスがうまく行ってる証拠なのだろうか
「くそっ……差がつまらねーっ!!なんだってんだ!」
「火神すげえ!!こらえるどころか全然負けてねー」
「カントク、特訓の成果出てるっスよ!」
「……え……と、てゆーか……ですぎ、かな?」
「え?」
そう、ですぎなのだ。
特訓以上の動きを見せている。
『特に、あのジャンプ力…』
ジャンプボールでは擦りもしなかったのに…
『あれが火神の力だということか』
嬉しいような悲しいような。
もしも火神の力が開花したら、あいつらの様になってしまうのだろうか…
『そうなったら、嫌だなぁ』
オレ、どう接していけばいいのか分かんないよ。
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