スタートから全力 (4/5)
新協との試合前、火神はある特訓を受けていた。
「DFもいぶし銀、水戸部先生よ!」
『ですよ!』
「!?」
何をするのか分かってない火神は若干困ってる。
というか、水戸部先輩に教わることあんの。みたいなこと思ってることだろ。
いや絶対思ってる。
「これから毎日水戸部君と練習して、自分より大きい相手を封じる方法を体で覚えるのよ!いい?シュートを防ぐのはブロックだけじゃない。落とさせるのよ!」
『よろしく』
「いや、水戸部先輩は分かったけど…なんで藤井も?」
『暇だから』
「違うわよ!適当なこといわないでちょうだい!言い出しっぺはアンタだろうが!!」
『痛っ!何で叩くんですか!?』
後頭部を平手で叩かれた。
なんかオレだけ扱い酷くないですか
「藤井にも練習相手になってもらうのよ。シミュレーションは多いに越したことはないからね!」
『………そうなんですか』
「自分のやる事くらい知っとけや!」
『まあまあ』
「テメェ…」
何はともあれ、水戸部先輩の巧みなディフェンスを火神には体験してもらう。
ガンッ
「んんっ!?」
1on1が始まって5分。
もう何度目かのシュートも、やはり入らない。
『オレとやった時もぜんっぜん入らなかったけど、みと先輩とやっても入らないねー』
「うるせえよ!」
火神はムキになって無理矢理にでもシュートしようとする。
また入らない。
「くそっ!」
しかし耐えろよ火神君。
この襲い掛かるストレスとプレッシャーに打ち勝ってこそ、手に入れられる境地があるのだ。
『これができれば届かない相手と対峙したときも、対抗することができる』
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