スタートから全力 (3/5)
『やっぱ身長がなぁ…』
ベンチで見てるとその存在感がよくわかる。
「フリー!!もらった!!」
伊月先輩からの巧妙なパスによってフリーからのシュートをした主将。
『ほら、コレもダメだ』
やっぱりパパがカットしてしまうのだ。
「デタラメだろあんなの……やっぱりズリーよ外国人選手なんて」
降旗や河原が野次をとばした。
『そーいう言い方はないんじゃない?』
確かに外国人選手が居るってことはズルいことかもしれない。
でも割り切らなきゃ。
それが相手様の勝ち残るための方針なんだから。
「でもよぉ……」
『黙らっしゃい坊主』
「ぼうっ…!?」
『うだうだ言うのはやめろってんだよ。別にルール違反なんてしてないだろ?』
「まあ…そうだけど」
『だったらもうみっともない野次はとばすな』
うちのルーキーを信じてやれと、ガラにもないことをついつい口走ってしまった。
ああ恥ずかしい。
「そうだな。すまん…」
『あ、いや……分かればいいんだ』
オレがこんなに強く言うなんて思いもしなかったんだろう。
河原や降旗はオレを見つめながら呆気にとられていた。
『ほら、ボーっとしてないで応援応援!』
「お…おう!」
うちは控えの選手層も薄いのだから、帝光の時のようにサボってはいけない。
「落ちた!!リバン!!」
「ぐッ……」
出だしは順調だったパパは今、シュートするもなかなか得点にもっていくことができてなかった。
「そう簡単には入らないわよ。なんたって……火神君がお父さんに自分のプレーをさせてないからね!」
「自分のプレーを……?」
「届かなくてもやり方はあるのよ!水戸部君直伝のね!」
『あれを火神君に修得させるのは大変だったなぁ……』
普段攻めることしかしないから、ああいう戦法を教えるには骨が折れた。
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