スタートから全力 (2/5)
「へ?黒子君先発?」
『珍しいな。お前から頼みごとなんて』
その理由はもちろん、テツヤをお子さま扱いしたパパにあるんだろうが。
「黒子君には時間制限があるでしょ?控え選手として戦況見て出してくって言ったじゃない」
「お願いします」
「なんでそんな血走ってんのよ?」
普段は感情の読めない目をしてるのに、今は闘争心に燃えてるのが見て分かる。
『オレが先発じゃ、不安なの?』
わざとらしく目をウルウルさせてみた。
「い、いえ…そんなワケでは決して………ああ泣かないで、泣かないでください直也」
『ウソウソ。オレは別にかまわないけど……カントクさんどうですか?』
「……ま、初っパナからカマすのも嫌いじゃないし…いーわよ!藤井君が控えで黒子君先発ね」
『いたっ!』
だからなんでいちいちオレの背中叩くんですかカントクさん。
そんなに叩きやすい背中してるのかな…オレ。
「ただし、いきなり切り札見せつけるんだから中途ハンパじゃ逆効果よ。第1Qで最低10点差はつけなさいよ!」
『もしできなかったら……』
逆エビの刑に処されるか、特大ハリセンがうなるか…考えただけで寒気が走った。
「い……いってきます」
オレと同じことを考えてたであろうテツヤは焦った様子でコートに入っていった。
「それではこれより誠凛高校対新協学園高校の試合を始めます!」
「「「しゃす!!!」」」
挨拶が終わり、各々配置につく。
パパは相変わらず不満げな表情でいた。
「ワァッ!?てベンチじゃなくテスターター!?ナニソレ!?」
『うわ。予想通りめっちゃ驚かれてるよ』
わざとじゃないよね、パパ。
素で驚いてるんだよね?
あそこまで表現がオーバーだと、逆に気になる。
「うおっ!?」
『あらまー』
火神とパパがジャンプボールをする。
ボールは見事に新協にわたり、パパが直ぐにシュート体制に入った。
『え、あれ?ノーフェイクでシュートするの?』
火神がきっちりマークしてるというのに、まるでフリースローを決めるみたいにゆっくりとした動作でジャンプシュートした。
『火神君が、手も足もでてない…』
火神は当然ジャンプをした
でもちっとも届かないんだ
「来たぁ!高い!!」
「先制は新協学園だ!!」
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