目標を掲げて (1/3)
キュ、ダムキュッ!と、体育館には様々な音が響く。
『おーやってるやってる』
今日、オレはカントクと2人で次の試合相手の練習試合を偵察に来ていた。
「そんな……去年と全然違うじゃない……!」
オレも、思わず目を疑った。
中堅校どうしの試合を見に来たはずなのに、それ以上の力の差があった。
『先輩。誠凜ってこのチームとやったことあるんですか?』
「いいえ。試合を観戦した程度よ」
『前回と、何か変わりましたか?』
カントクさんがこの試合を見て驚いている理由が、知りたかった。
「なんといってもあの外国人ね…」
『がいこくじん……』
オレもカントクにならって、コートの中に視線を集中させる。
『あ、あれは!!?』
オレは強い衝撃を受けた。
なんだ。なんなのだ、あのデカさは
『いったい何センチあるんだよ!?』
「遠目だから正確には分からないけど……おそらく2メートルはあるわね…」
『そんなにデカいの?』
「手足も長いわ…」
火神よりデカくてゴツイ外国人を見たオレらは、脅威を感じないわけにはいかない。
「今のウチじゃ秀徳に挑むどころか…一回戦で負ける…!!」
『……まったくですね』
たった1人の外国人を投入しただけで、これほどの変化があるとは…
一年目に決勝に行った誠凜も、今年は一回戦敗退なんてこともあり得なくはない。
「これは、火神君に頑張ってもらうしかないわね…」
『あの長身を相手にできるのはアイツくらいですからね』
どうせ、身長のないオレは何やってもダメだからね。
『あ、カントク。写真撮っておきましょうよ、写真』
「そうしましょうか」
カントクの携帯で写真を撮った後、オレたちは誠凜へと戻ることにした。
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