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買ってきて (4/5)





「パン買うだけって……マジかよ?」


「ほとんど全校生徒いねぇ!?」


『ああ。有り得ねぇよな』


購買前には人、ヒト、ひと。
どう考えても居すぎだろ。


「おばちゃん、イベリコ豚カツサ……いてっ!!」

「すいませんイベ……ってーな」

「何すんだ……いって」

「ちょっと押さないでよ」

「イベ……あー!!」



イベリコ豚なんちゃらを求めて集まった人だかり。
オレたちは完全に出遅れていた。


「とにかく行くしかねー。筋トレフットワーク3倍は……死ぬ!!」


『だな。誰から行く?』


「よし……まずはオレが行く……火神ほどじゃねーが、パワーには自信があるぜ……」


『河原……』


なんて勇気のある奴なんだ。
とてもじゃないがオレは怖くてムリ



「うおおおおおおお」



威勢のいいかけ声と共に集団の中に突っ込んでいく。


『あー……』


しかし、呆気なく敗北。
簡単に飛ばされてしまった。


「ってゆーかよく見たらこれ……ハンパな力じゃムリだぞ……」


「ラグビーのフォワード……アメフトのライン……相撲と、ウェイトリフティング……」


「奴らのブロックをかいくぐるのかよ……」


「おもしれえ……やってやろーじゃん」


「火神!」


「おおお!!!」


人混みに突っ込み購買を目指し揉まれる火神。
なんとか中までは入れるものの、結局最後は弾き出されてしまった。



「「「火神ィイィイ!!?」」」


『………オレじゃもう、ムリだわ』


火神がムリだったら、オレはかなうはずねえだろ。



「やっぱ全員で行くしかねぇ!!誠凛ーファイ!!」

「「「オオ!!」」」



集団戦法に切り替えた彼らは一斉に駆け出す。

でも結局は……


『おー…みんなお帰りー』


収穫ゼロのまま、帰ってきた。


『あ、そーいやテツヤが居ねぇ…』


一人足りない事に気付いて辺りを見回すと、パンの包みを持ったテツヤがいた。


「あの……買えましたけど……」


テツヤの手にはしっかりとなんちゃらカツサンドが握られていた。


「なっ……オマ……どうやって!?」

「人ごみに流されてたら先頭に出ちゃったんでパンとってお金置いてきました」


はい。とテツヤは火神にイベリコ豚のやつを手渡す。


「?どうしたんですか?」


「いや……なんでもねーよ」


「さすが幻の6人目はちげーな…」


『………ははは』


今までの彼らの苦労はなんだったんだろうね。


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