買ってきて (2/5)
「起立、礼、着席ー」
午前の授業が終わった。
次は昼食の時間だ。
『ケーキ、ケーキ』
教科書やノートを片付けてしまうと、オレは今朝もらったロールケーキを出した。
「あれ、もう食うの?お弁当は?」
パンを数個持った柏木は、オレの机にイスを寄せて座った。
『そんなの早弁したに決まってんだろ!』
オレは休み時間をフルに使ってこのプレミアムロールケーキを堪能したいのだ。
『柏木、フォーク持ってる?』
「あるぞ」
『さんきゅ』
準備は万端、時間も十分…
袋も上手く破けたからロールケーキの形も完璧なまま。
『よし、いただきまー…「藤井くーん?」
『……………』
背後から、聞き覚えのある声に呼ばれた。
「なーにやってるのかなー?」
『よ、よう降旗君。君もロールケーキを食べたいのかな?』
振り向いたら降旗、福田、河原がいた。
三人ともなんだか顔が怖い。
「違うだろ藤井!オマエ、メール見たのか!?」
『え?あ、あー……見た、かなー?』
水戸黄門の紋所みたいに、河原君が携帯を掲げてメールを見せてくれた。
「このメール内容を読んでみよ!」
『えー…1年生全員、昼休み2年校舎集合………』
うん来たよ、このメール。
でもオレにはこっちのほうが大事だったんだ。
「そう!よく読めました!」
「そーいうことだから、」
「呑気に食ってないで行くぞ!」
『ちょ、一口だけ!』
「「「ダメ」」」
『ああー!!!』
オレは福田と河原、降旗の三人によって、先輩方のもとへ連行された。
『オレのロールケーキぃぃイイ』
どうか、オレが帰って来るまで無事でいてくれ。
柏木になんか食われるんじゃないぞ。
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