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帰り道 (5/5)







「どう見ても卑怯です」



突然、沸いて出たように現れたテツヤが、持っていたボールを指先で回してチンピラの鼻を擦る。

オレは出しかけた足を戻して、フェンス越しでテツヤを見守る。
だってオレ、暴力とか嫌いだし?



「アッツ……!!?ってか何だテメ……どっからわいた!?」


「そんなバスケはないと思います。何より暴力はダメです」


「はぁ!?いきなりなんだテメー!?」



チンピラの1人が、テツヤの胸ぐらを掴んで持ち上げる。

本格的にテツヤがピンチかも……


『どうしよう…助けに行くべきかな……』


バスケの勝負なら、なんとかなるかもしれないし。



「ハッ、ハハッ、いんだね今ドキ。いーぜ別に。じゃあバスケで勝負してやるよ……て」


「あのーオレらもまざっていっスか?」


「つーか何いきなりかましてんだテメーら」



オレが意を決してコートの中へ入ろうとしたら、黄瀬と火神が現れた。



「5対3でいーぜ、かかってこいよ」


「なんだとっ……」



2人のナメ切った態度に、頭にきたチンピラは五人で試合に望んだ。


しかし、


ものの数分で決着がついた。


『当たり前っちゃ、当たり前』


テツヤに危険はもいないと確信したオレは、未だテツヤを捜し回ってるであろうカントクさん達のもとへ帰ることにした。












「あ、藤井!黒子居たか!」


『いましたよー』


「そうか!なら案内してくれ」


『合点承知』


オレは、皆の先頭に立って少し先にあるストリートを目指して歩きだした。




『アレです』


指差した先には、ジャージを来ている最中のテツヤと火神がいた。


「あっ!!いたー!もう!!」


呆れ口調のカントクさんの声にテツヤ達は気付いて、一度だけ振り返った。



「火神君、一つだけ聞かせてください。あの話を聞いてましたか?」


「決別するとかしないとかか?てゆーかそれ以前にオレ、別にオマエと気ィ合ってねーし」



集まりだしたオレらを確認した2人は、少しだけ会話を続けていた


「一人じゃ無理だって言ったのはおめーだろ。だったらいらねー心配すんな……それに、いつも主役(光)と共にある。それが黒子のバスケだろ」


「火神君もけっこう……言いますね」


「うるせーよっ」



何の話をしていたかは分からないけど、火神がいい台詞っぽいのを吐いていた。



「黒子くーん?」


「か、カントク……」



勝手に消えたテツヤはカントクさんから逆エビの刑に処されていた。


「カントクっ!ボク、ボクちゃんと言いましたよ!!」


地面を必死にタップしながらテツヤは言った。


「直也君に、ちょっと席を外すこと言いましたよ!」


「それは本当なの?」


カントクさんが鬼のような形相で尋ねた。


『あ、あー…言ったかも………?』


伝えるの忘れてた。

そしたらオレも逆エビの刑をくらった。

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