帰り道 (4/5)
『テツヤー……』
黄瀬と話をするために出ていったテツヤがなかなか帰って来ない。
そして、只今絶賛捜索中だった。
『あら、ストリートだ』
ふと、フェンス越しにストリートコートへ目をやった。
「んだよクソ、なんかウジャウジャいんじゃん」
そこでは、ガラの悪いチンピラ達が学生達に絡んでる最中だった。
「オラ、もう十分遊んだろ。代われ代われ」
「こっちだって来たばっかだよっ。順番を……」
「あ゛あ゛!?」
「まあまあ……ココはホラ、バスケで決めるとかでどう?」
勝手に割り込んで来たくせにバスケで勝負しようなんて、チンピラは話を持ちかけた。
『なんて卑怯な…』
気の弱い学生達は言われるままに試合を受けた。
「よっしゃあ!!」
「あらーやるな〜負けちゃう〜」
「よしこれで勝っ……」
「はいブローック!!」
「って!?」
学生達が有利で、このまま彼らが勝のだと思った。
でもチンピラ達は、やはり卑怯な手を使ってきた。
「……っちょ、何だよ今の!?3対3だろ!?」
「はい?バスケでっつったろ。3対3なんて一言も言ってねーし」
「なんだよソレ……んなヒキョ……」
『あっ』
チンピラのひどい所行に、思わず声を出してしまった。
「え?なんて?」
「がっ……!?」
反論した学生にチンピラが容赦なく蹴りを入れたのだ。
「悪ぃ、よく聞こえなかったわ。なあオイもっかい言ってくれ」
ケラケラと笑うチンピラ。
『あの野郎……』
神聖なコートを汚すようなあの行為。
見てるだけなんて……限界だ。
『ちょっとシメてやる…』
と、コートに入ろうとした瞬間だった。
「どう見ても卑怯です」
オレの今一番会いたい奴が、チンピラ達の真ん中に立っていた。
『テツヤ!?』
なんで君がそんなところにいるんだい?
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