帰り道 (3/5)
『あ、黄瀬ココだよココ』
「ここ?」
オレが立ち止まったのはとあるステーキ専門店。
『なんかね、皆ここでご飯食べてるんだって』
さっき携帯を開いたら、そういう主旨のメールが届いてたのだ。
「へー」
『うん。だからここでお別れ』
「っスね」
じゃあね。と手を振って、ドアに手を掛けた。
『「あ」』
ドアを開けるとそこにはテツヤがいた。
彼も、今まさに扉を開けようとするところだったようだ。
『あれ?皆は?』
「まだ食べてますよ」
『テツヤはどうしたの?』
「ボクは食べ過ぎたので……風に当たりに来ました」
『そっか』
テツヤは外にオレは中に、入れ替わるようになった。
「ちょっと…話さねぇスか…黒子っち」
『ん?と言う事は2人でどっか行くのか?』
「たぶん…直ぐそこの公園辺りに」
『おっけー。いってらっしゃい』
オレが店内に足を進めると、ドアが閉まった。
「火神すげー」
「これならイケるぞ!!」
「ほら、あと1つ!」
店の中央。
そこには人だかりができていて、テーブルには空になったステーキ皿が何枚もあった。
『何やってんですか?』
「お、藤井。やっときたか!」
「今、タイムレース中!」
「食い切れたらタダなんだってよ」
『へー』
だから火神はあんなにも口いっぱいに頬張ってるのか。
それから10分後……
「うん……さすがに食いすぎた…」
火神は膨らんだ腹を苦しそうにさすっていた。
「ごちそうさまでしたー!!」
「おう!!二度と来んな!!」
店長さんも、まさか食べきるとは思ってなかったのだろう。
涙目でお見送りしてくれた。
「じゃ帰ろっか!全員いる?藤井君もちゃんといる?」
『居ますよー』
「……あれ?黒子は?」
「いつものことだろー。どうせまた最後尾とかに……」
その言葉につられて、皆一斉に振り向くが…
「いや……マジでいねぇ…ですよ」
「……え?」
『あらホント』
仕方ないから、皆で探すことに。
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