ほどよく仲良し (2/2)
「ちょっと真ちゃんいつまで喋ってるの?そろそろ帰ろーぜ」
「ああ、そうだな高尾」
背後から声がして、真太郎がオレから離れていった。
「じゃあオレも帰り支度してくるっス。藤井はちょっと待ってて」
『うん、いいけど……』
黄瀬も足早に体育館の中へ。
オレは再び真太郎に視線を向けた。
『もう行っちゃうの?』
「すまないな。高尾が駄々をこねているのだよ」
「駄々なんてこねてねぇよ!」
『あははっ!そっかそっか!』
高尾と呼ばれる彼と真太郎のやり取りを見ていたら、昔の自分と真太郎みたいだと思った。
「だから違うって!」
『うんわかってるってぇ』
ホント、昔々の自分みたい。
『ところで君の名前は?』
ひとしきり笑ったあと、リヤカーひいてきた面白い子に近づいてみる
「高尾。高尾和成っていうの」
『オレは藤井直也。うちの真太郎をよろしくね』
にこりと笑って高尾君と握手をかわす。
彼とはなんだか気が合いそうだ。
「まて藤井。"うちの"とはなんなのだよ、"うちの"とは」
『いや…チームメイトだったし…』
「今は違うのだよ」
『細かいこと気にすんなって!』
右の親指をグッ!と立てて、真太郎に向ける。
するとため息をつかれた
「高尾行くぞ」
「あっ、待ってよ真ちゃん!」
『ばいばーい…』
リヤカーの荷台部分に乗り込む真太郎とチャリにまたがる高尾君に手を振った。
「今度は試合で会おうぜ!」
高尾君は元気にチャリをこいで行った。
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