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借りました (2/2)




「175?ふーん……」



あやしい
あやしいと彼らは睨んでくる。



「笠松、ちょっと並んで」

「森山の隣?……こうか?」

「違うちがう。オレの隣じゃなくてコイツの」

「……なんで?」


疑問いっぱいの笠松さんは、よく分からないままオレの隣に立った。



「ふーん……」

「主将って身長いくつっすか?」

「178だけど…」

「だよなぁ……」



森山と呼ばれたこの先輩は、オレと笠松さんの身長を見比べた。

……ばれたかもしれん。
身長をサバ読みしてんのを


『スミマセン、172です……』


どうせ小さいですよ。はい。



「172!?ちっさ!」

『ら、ラ行もちゃんと言えない人に笑われたくないですけど!』

「んだとぉ!?」



「おめーら落ち着け!早川はいちいち喧嘩売るな!アンタは服着ろ!」

『え、えっ?』



笠松さんに、黒いTシャツを投げつけられた。


『これ…』

「オレのだ。見たとこ、オレとアンタの体格にそんな差はないみたいだし。着れるだろ?」

『でも……』



悪いですよ。
笠松さんは関係ないのに……



「んなこと言ったってなぁ。オマエのシャツがああなったのは黄瀬のせいで、オレはアイツのキャプテン。
だったら責任とんのが当たり前だろう」



当たり前って、胸を張られても困るんですけど。



『いや、だったら黄瀬の借りて行きますよ?』

「アイツのじゃデカすぎるだろ」



笠松さんは断言した。

どうせ15センチ差ですよ…



「まあまあイイじゃないの、借りてけば?」


森山さんはオレの肩に手を置いて笑ってる。
その手がなんだか気持ち悪い。


『……じゃあお言葉に甘えて』


森山さんの手をわざとらしく払い落とし、シャツを着た。



「お、似合う似合う。」

「ピッタリだな」

「ちゃんと返しにこいよ!」

『あたりまえですよ!』



子供じゃないんですから、そのくらい出来る。


「なんで直ぐいがみ合うのかなー」

「はは…」


笠松さんと森山さんが呆れてる。



『…じゃあ、オレそろそろ帰ります。シャツありがとうございました』

「ああ。濡れたヤツはこっちで洗っとく」

『お世話になります』



先輩方に一礼して、部室を後にした。


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